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カクレ理系のやぶにらみ

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時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

あいまいな国のあいまいな人々  他人と自分についての位置関係の勘違い(3)

 今回は、上司やトップの理不尽な仕打ちに苦しめられている人はどうやって自衛したらいいかについて考えてみます。生徒の父兄の無理難題に悩む先生にも有効でもあります。



 前々回で、上司やトップの無理難題に従わなければならない理由を考察しましたが、その根源にあるのは、逆らったら職を失うのではないかという恐怖です。このことが理解できれば、対応策は自然と見えてきます。

 まず思いつくのは、もっと物わかりのいい上司やトップを求めて転職する、というものです。これはサラリーマンにとっての最後の切り札ともいえる手段なのですが、転職が成功するとは限りません。前よりも悪い条件で働かなければならないということもあり得ます。
 転職が成功するかどうかは、あなた自身のスキルと人脈にかかっています。(20代の場合人脈とスキルはほとんどないのですが、それでも仕事に対して器用であれば成功する可能性は高いといえます。)
 ですから、ご自分のスキルと人脈に自身のある方はさっさと転職することをお勧めします。そうでない方は、それが身につくまで辛抱した方がよいと思います。

 そこで2つのことが課題として浮かび上がってきます。
 まず第一に、人脈とスキルをすばやく身につけるにはどうしたらいいか?
 第二に、それまでの間、どうやって自衛したらいいか?

 第一の課題に対する回答は、自分の仕事に使命感とやりがいを持つことです。使命感というのは、ひらたくいえば「やらねばならぬ」という強い思いのことです。この思いが強いと行動力・実行力が備わってきます。
 やりがいを見つけるというのは、自分の仕事のクライアントは誰かを見極めることから始まります。先生であれば、クライアントは生徒以外にありません。学年主任や共闘ではありませんし、生徒の父兄でもありません。
 このクライアントが誰であるかを間違うと、あなたの仕事は苦痛に満ちたものになってしまいます。あなたの上司があなたのクライアントであると勘違いすると(実際勘違いしている人は多いのですが)、あなたの関心は、どうやって上司を満足させることができるかに移ってしまいます。こういう人は出世はできますが、まるで使い物になりません。会社の看板を外すと相手にしてもらえない、という人になってしまいます。
 ここで大切なことは、あなたの仕事はあなたのクライアントを満足させることを目的とする、ということです。
 新人がよくいっているでしょう。仕事をしていて嬉しかったことは、お客さんから喜んでもらえたことだと。
 クライアントを満足させることができたときに、その人の仕事は完了し同時にやりがいを得ることができるのです。
 だから、この仕事は「やらねばならぬ」という気持ちも持てるわけです。

 使命感とやりがいをもって仕事をしていると、あなたを助けてくれる人は自然と出てきます。この人たち(取引先も含みます)があなたと一緒にすることで「いい仕事をした」と思うと、次回もあなとを助けてくれるようになります。人脈というのは、この繰り返しから生まれてくるものをいいます。
 大事なことは、あなたと一緒に仕事をした人たちも満足しているというところです。他人は利用するための道具でしかないと考えている限りは、一緒に仕事をしてくれる人がだんだん減っていきます。つまりいつまで経っても、あなた個人の人脈はできないことになります。
 それでもその人が仕事を続けられるのは、背景に会社の看板とその人の地位(職位)があるからです。

 以前勤めていた会社で、新規で取引をするためにその会社と何度か打ち合わせをおこないましたが、あまりにも考え方が異なる上に譲歩しようという姿勢がまるで見えないものですから、何度も喧嘩をしながらも何とか契約がまとまった、ということがありました。最初は、担当者の性格なのかなと思っていたのですが、やがてそうではなくて会社の考えたが「ウチとやりたければいうことを聞け」ということなんだな、ということに気づきました。
 契約がまとまったことを社長に報告したときのことです。
「社長、契約はまとまりましたが、正直いってあの会社とはもう二度と取引したくありません。
「どうしてだ?」
「いうことがあまりにも自分勝手で、自分さえよければ他人はどうでもいいという考え方が社風として伝わってくるからです。今でこそあの会社は業績を伸ばしていますが、あれでは将来困ったときに誰も助けてくれないと思います。」
「それでいいじゃないか。そうやっていられるうちが華なんだから、それでいいんだ。そうでなくなったら終わりだと割り切ってればいいんだ。」
「そうですか。」

 このことでわかったのは、会社が成長できるかどうかは戦略が左右するということです。担当者の努力も必要ですが、どこの会社でも担当者は努力しているので、それさえあれば他は要らないかというとそうではありません。同じ努力をしても、まるで報われない会社もあれば、どんどん業績が伸びていく会社もあって、その違いは会社の戦略の違いだということです。
 そのとき私と商談をしていたその会社の担当者は、その後辞めてしまったという話を聞きました。それを聞いて、あのとき彼がいっていたことは彼の考えから出た言葉ではなくて、会社から言わされていたんだな、ということに思い当たったのです。
 もし彼が、何の呵責も感じないで私と打ち合わせをしていたとしたら、彼は会社の中で出世していたことと思います。でも、そうではなかったので辞めてしまったのでしょう。その後彼がどうしているかはわかりません。

 仕事を通じてクライアントとまわりの人に満足してもらうことを繰り返していると、人脈ができあがっていくなかで、様々な経験を通じて、自分自身の中にスキルが少しずつ形成されていきます。その際に自己啓発も必要なのですが、クライアントや取引先、協力者から教えられることもあります。何よりも仕事を通じて自分自身が発見したことが一番身につくようです。
 こうして、人脈とスキルを身につけていくと、あなた自身はまわりから一目置かれる存在になっていきます。つまり、何か困ったことがあったらあなたに相談したらいい、という暗黙の了解が職場の中に形成されていくのです。

 ここで問題となるのは、あなたがそのような境地に達するまで時間がかかるということです。ところが上司やトップがあなたにいう無理難題は今現在の問題なので、それまでの間どうやって凌ぐか、ということを二番目の課題として考えなければなりません。

 暴君から身を守るには、自分の本音を出さないことに尽きます。あるいは地といってもいいでしょう。
 人間は誰でも好き嫌いがあるので、ヤマダくんは明るくて声も大きいし見どころがある奴だと好ましくおもう人もあれば、ヤマダはお調子者でがさつな奴だと苦々しく思っている人もいます。
 これは、誰にでもいえることであって、すべての人から好かれる人はいませんし、すべての人から嫌われるという人もいないのです。
 上司やトップというのは、サラリーマンにとって生殺与奪の権限を握っているといってもいいので、要はこの人たちから意地悪をされないようにするにはどうすればいいか、ということなのです。
 その最も確実な方法が、あなたの地を出さずにこの人たちと接するということです。サトウはあまり目立たないけどコツコツやってるなあ、くらいに思われているのが最も安全です。その代わり、上司やトップから可愛がられるということもありません。リスクが少なくなるとリターンも少なくなるのです。
 逆に、あなたの地を出すことで、ヤマダは愛嬌があって可愛い奴だと思われる可能性が出てきます。(裏目に出ることもありますが)。
 首尾よく、こららの暴君に気に入られたとしても、いつ逆鱗にふれるかわからないというリスクを抱えることになります。リターンが多ければリスクも高くなるのです。

 色々な会社をみて思うのですが、組織が大きくなればなるほど、決断をしない幹部が増えるように思います。トップがワンマンという会社ほどこの傾向が強いようです。
 決断をしないということは責任をとるつもりがないということですから、この人たちは組織に巣くうシロアリのようなものです。
 最初は、この人が決断をしないのは性格によるものかと思っていたのですが、そうではなくて、そのような人になってしまったのだということにやがて気がつきました。
 保身(先ほどの自分の本心を明かさない、というのもそうです)を続けていると、いつか嵌り込んでしまいかねない落とし穴がここにあります。暴君から嫌われないようにするには、いわれたとおりにするのが間違いありません。そのためには自分の考えを持っていると邪魔になります。自分の考えを持たないということも嫌われないための方法でもあるのです。
by t_am | 2008-06-22 05:36 | あいまいな国のあいまいな人々