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カクレ理系のやぶにらみ

tamm.exblog.jp

時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

暴力に手を染めるとき(DV論序説) 2

(前回に続く)

核家族の影響
 現代社会では核家族が多いために、普段子供に愛情を注ぐのは両親しかいないという家が増えました。祖父母は孫を可愛がるでしょうが、孫の将来に責任をとる覚悟を持って孫に接しているわけではない場合が多いのです。



 核家族の第1世代である今日の祖父母の世代は、自分自身が大家族の一員として育っているので、核家族で育った第2世代(今日の20代から40代の世代)とはスタートラインが異なります。
 核家族の第2世代の人たちは、兄弟姉妹がいてもせいぜい二人、一人っ子も多いのです。したがって、自分の欲望を満たすことに関心はあっても、他人については無関心(あるいは気遣うことができない)という人が、男女ともに多いことになります。

 風邪を引き熱を出して寝込んでいる奥さんに向かって、夫が朝、出がけに「夕ご飯は外で食べてくるから何もせずに寝ていていいよ。」と声をかけて出勤していったそうです。これを聞いた奥さんは「あたしの食事はどうなるの?」と泣きたくなったそうです。

 実際問題として、結婚して他人と一緒に暮らすとはどういうことなのか、考えたこともないまま結婚する人たちが増えています。その人たちの心の中にイメージとしてあるのは、恐らく一つ屋根の下で一緒に過ごし、ご飯を一緒に食べて、寝るときにはセックスをし、休みの日になれば一緒に出かける、くらいではないでしょうか。(映画やドラマでは、結婚生活の地味な部分については教えてくれないのです。)
 また、自分に欲望や願望があるように、配偶者にも欲望や願望があるということが理解できない夫婦の間でも、育児は母親の役割という伝統的な性意識は残っています。このため夫は子育てに対して、自分には関係ないこととして無関心になる傾向があります。もっと正確に言うと、可愛がりたいときだけ我が子に接する父親、自分が感心のあるところ(たとえば学校の成績)でだけ子供に接する父親になるのです。
 現に、我が子の友達の名前や好きな遊びを知らない父親は、普段妻との会話がないことを身をもって証明しているようなものです。
 これでは妻の側に夫に対する不満が溜まっていくのは当然といえます。
 けれどもちょっと考えてください。妻の側も自分の欲望を満たすことに関心はあっても、夫のことについては無関心だった場合、夫の側にも同じように不満が蓄積されているはずです。自分が手に入れることにしか関心がなく、自分は何を相手にしてあげられるかに無関心な夫婦関係というのは、DVに行き着くまでに破綻することも多いのではないでしょうか?


「殴る男」を見分ける方法はあるのか
 暴力嗜好壁のある男は割と簡単に見分けられます。相手を従わせる手段として暴力が有効であることを知っている男については、交際しているうちにそのことがわかってきます。問題は、このどちらでもないタイプの男です。、この中から暴力をふるう男とそうでない男が出てくるのですが、それを見分ける方法は残念ながらないように思います。
 DVの夫に共通する特徴として、過剰な独占欲と支配欲、責任転嫁、外面と内面のギャップなどがあります。けれどもこれらは誰でも持ち合わせているものであって、ここまでならば安全だけれども、これ以上は危険という線引きができないのです。
 たぶん暴力をふるわないだろうという男は、心の中に「自覚と決意」を持っていますが、それを見分けるのは困難だと思います。わざと喧嘩をして相手を怒らせるのがいいように思われがちですが、このタイプの男は「憎しみ」がないと暴力に訴えるということはありません。だから、今喧嘩をして暴力をふるわれなかったからといって、そのことが未来を保証するものではないのです。
 恋人に対し親から殴られたかどうか、殴られて育ったとすれば今の自分はそのことをどう思うかを質問することも考えられますが、こればかりは効果があるかどうかわかりません。恋人からこのような質問をされた場合、どう答えたらいいか打算が働くことがあって、素直に答えないことも予想されるからです。

 むしろ自分の恋人が暴力をふるう男なのかそうでないのかを見極めようとするよりは、お互いに時間をかけて話し合うことの方がはるかに有益だと思います。
 既に述べたように、愛情はお互いの関わりの中で、草花を育てるように育んでいかなければやがて消滅してしまいます。また、愛情は与えられるのが当たり前、というものではありません。あくまでも自分から相手に向けての働きかけ、それが愛情の本質です。
 そのことをお互いが理解している。そんなパートナーに巡り会うことの方がはるかに大切だと思うのです。
by t_am | 2007-09-19 00:51 | 心の働き

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