朝青龍の暴行事件
朝青龍といえば、素行の悪さからこれまでも数々の問題を起こしてきただけに、今回の事件を聞いていかにもありそうなことだと思われた方も多いと思います。
しかし、この暴行事件の本質は「横綱による暴行事件」ではなく、「格闘家による暴行事件」であります。
格闘家というのは日夜自分の肉体を鍛えるということを行っているわけで、その破壊力は常人の比ではありません。その気になれば素手で人を殺すこともできるのですから、いくら泥酔していたとはいえ、格闘家が一般人に暴行を加えるということはあってはならないのです。
師匠の高砂子親方は、被害者との間で示談が成立したかのような発言をしていますが、むしろ嘘ではないかと疑われている始末です。一般人同士の喧嘩であれば、示談が成立すればそれ以上事を荒立てないようにするという解決策がとられることもあるでしょうが、今回の事件に限ってはそういう解決のしかたは、相撲協会にとっても禍根を残すことになります。なぜなら、格闘家の身体というのはそれだけで凶器になりかねないにもかかわらず、酒に酔って一般人に暴行を加えた力士を見逃すということをすれば、相撲協会はならず者をかばう組織であるということになってしまいます。
マネージャーが被害者であってこれは身内の出来事なのだから厳重注意くらいでちょうどよいと考え方もあったようですが、とんでもないことです。身内の出来事だったら目こぼしをしてもよいというのであれば、親が幼い子供に暴力をふるっても何ら差し支えないということになります。
そのようなこともわからない人たちが師匠として後進を育成する立場にあったり、あるいは協会を指導する立場にあるというのも、相撲界の体質が世間の常識とかけ離れており、みんな似たようなことをしてきたのだろうと思われます。
これが他の格闘技であれば、相手が身内であろうがなかろうが格闘家が一般人に暴力をふるった時点で、ライセンス剥奪、永久追放という処分がなされるのでしょうが、相撲協会はどのように判断するのでしょうか?
ちなみに、朝青龍と高砂親方の事件後の行動を見ていると卑怯千万という言葉を思い出します。
念のため申し上げておきますが、今回の事件は朝青龍の過去の素行不良とは別個に考えるべきです。好き嫌いでこのようなことを申し上げているのではないのです。