モンスターワイフ
著者は「となりの寝室事情 うちの寝室事情 恋人・夫婦仲相談所」を主催されており、主婦から寄せられる数々の相談に対し、ご自分の体験をふまえたアドバイスをされています。
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多くの女性にとって結婚は夢ですが、夢はいずれ覚めてしまいます。多くの主婦がセックスレスを経験しており、中には夫の浮気に悩む人もいます。この本は、そうした悩みを抱える主婦からの相談事例に基づいて、現在悩みを抱えている主婦へのアドバイスとなっています。
ここで注目すべきは、妻が夫を変えるというアプローチの仕方ではなく、自分が変わっていくことを勧めている点です。そのためには、自分の中の「イヤな女」の部分に気づかなければならない。その手がかりとして「モンスターワイフ」という概念を提唱されています。
夫の携帯を盗み見る妻、鞄の中身をチェックする妻、いつも不機嫌な妻、めそめそしていてすぐ泣く妻、むだ毛の手入れを怠っている妻。ありとあらゆる事例が紹介されており、その根本にあるのは夫とのセックスに対する不満(セックスレスやマンネリ)であると著者は指摘しています。イヤな女の事例を細々とユーモラスに挙げている理由は、「私には関係のないことだわ。あー、よかった。」と安心してもらうためではなく、夫婦仲に不満を感じている以上必ず原因があるはずであり、その責任の一端は妻である自分にもあるという自覚を持ってほしいからであることがわかります。
ただし、この本は夫婦不仲の責任を妻の側に一方的に押しつけるためのものではありません。たとえば、夫が浮気をしたときに、妻がとるべき選択は「許す」か「分かれる」しかないと二松さんは断言しておられます。「自分の幸せを本当に考えるなら、どこかできっぱりと『許す』か『分かれる』かの決断を、それがどれほど過酷なことであってもしなければなりません。でなければ前に進めないのです。」
男がこの本を面白半分に読み、夫が自分の責任転嫁に利用することはできるでしょうが、そんなことをしても誰も幸せになるわけではありません。むしろ、妻がきちんと自分自身を見つめたうえで、夫に対して真摯に接してきたならば、夫の側も真剣に応えないわけにはいきません(それまで、夫は何もしなくてもいいと免罪しているわけではありません)
「自分の幸せを本当に考える」ことの大切さをこの本は訴えているように思います。そして、そのためのアドバイスが随所にちりばめられているので、主婦には読むことをお勧めしたい本です。もしも、ご自分の奥さんがこの本を読んでいることに気づいたならば、そんな奥さんをいじらしいと思ってあげてください。