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カクレ理系のやぶにらみ

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時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

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 パソコンを使っていると、入力した文字列の漢字変換がきちんとできないということがあります。これはWordではなく、MS-IMEの領域になるのですが、使用頻度の高い用語であればMS-IMEの辞書に登録しておくと便利です。
 今回は、単語登録のやり方とちょっとしたコツについてご紹介します。

1.単語登録の手順
 「鬼龍院花子の生涯」という小説があります。映画にもなっているのでご存知の方も多いこと思います。この鬼龍院花子という名前は、MS-IMEの辞書に登録されていないので一発で漢字変換することができません。当たり前といえば当たり前なのですが、自分の家族の名前が漢字変換されないというケースはよく聞きます。

 そこで、MS-IMEの辞書に「鬼龍院花子」という単語を登録してみましょう。

(1)最初に、すでに入力されている「鬼龍院花子」という文字列をドラッグして選択状態にしたうえで、Ctrl+C キーを押します。これはコピーのショートカット・キーなのですが、このようにコピーをしておくことが単語登録の急所となります。(ATOKをお使いの場合、ドラッグして選択状態にしておくだけでよく、コピーする必要はありません。)

(2)下図のように、MS-IMEの「ツール」ボタンを左クリックしてメニューを展開させて、「単語の登録」を選択します。(MS-IMEではなく、ATOKをお使いの場合はCTRL+F7で単語の登録ダイヤログボックスを表示させることができます。マウスを使わないと単語登録できないMS-IMEに比べると便利ですね。)

(「単語の登録」ダイヤログボックスを表示させる)
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(3)単語の登録ダイヤログボックスが表示されます。(下図参照)なお、この図はMS-IME2010のものですが、それ以前のバージョンでもあまり変わりはなく、ポイントは一緒です。

(「単語の登録」ダイヤログボックス)
c0136904_18274446.jpg



 既に、これから登録したい「単語」の欄に「鬼龍院花子」という文字列が入力されているのがおわかりいただけると思います。NS-IMEの辞書に登録したい文字列をあらかじめコピーしておくと、「単語の登録」ダイヤログボックスが表示されると同時に、その文字列が入力された状態になっているのです。
 あとは「よみ(R)」の欄に、「きりゅういんはなこ」と入力し、「品詞(P)」で「人名」を選択すれば完了です。
 
 
2.単語登録の応用(「よみ」を活用する)
よく使う文字列に、ご自分のメールアドレスがあるかと思います。これを単語登録しておくと、入力する手間を省くことができるうえに誤入力も防ぐことができます。
やり方は1.と同じなのですが、「よみ」の欄にたとえば「メール」と登録してしまうと、それ以後メールと入力するたびに、自分のメールアドレスが変換候補として表示されることになり、ちょっと鬱陶しいかもしれません。
このように、「よく使う単語だけれども、日常使われる言葉とは一緒に表示させたくない」という場合は、単語を登録するときの「よみ」に少し工夫を加えることで、使い勝手がぐっとよくなります。

たとえば、メールアドレスを登録するときに、「よみ」のところで「めーる」とするのではなく、わざと「。めーる」としてみましょう。パソコンに入力しているときに、「めーる」という文字列を変換することはあるでしょうが、「。めーる」という文字列を変換することはまず絶対にないといってよいと思います。ということは、必要なときにだけ「。めーる」という文字列を変換すれば、自分のメールアドレスに一発で変換してくれることになります。
MS-IMEの標準辞書には記号などの特殊文字も登録されていますが、特定の特殊文字を呼び出したい場合変換候補が多すぎるので、確定するまで手間がかかることがあります。ところが、単語登録では、同じ「よみ」で複数の単語を登録しておくこともできるので、自分がよく使う特殊文字だけをグループ化して(つまり同じ「よみ」で)登録しておくと、簡単に呼び出すことができます。

                            (グループ化の例)
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 この例では、「。と」というよみで、「©」「®」という特殊記号を登録しています。


3.単語登録の応用例(年号‐西暦変換)そして単語の一括登録
 ちょっと手間ですが、たとえば、「昭和62年」という単語を「1987ねん」(数字は全角文字であることに注意してください)というよみで単語登録しておくと、「1987ねん」と入力したときの変換候補に「昭和62年」も表示されるようになります。ついでに、「1987年」という単語を「しょうわ62ねん」というよみで登録しておくと、その逆の変換もできるようになります。
 ATOKでは年号‐西暦の変換が最初からできるようになっていますが、MS-IMEでは、ユーザーが辞書登録をしなければなりません。だからといって、年号と西暦の変換データを1件ずつ登録するのは大変です。
 幸い、MS-IMEには単語の一括登録という機能があるので、その使い方をご紹介します。なお、年号-西暦変換データはExcelで作成したものをインターネットディスクにアップロードしておきましたので、チャレンジしてみたい方は下記のリンクをクリックして、該当ファイルをダウンロードしてお使いください。
 ただし、年号は昭和と平成しか入れてありません。それ以前の大正や明治(あるいはそれ以前)についても変換できるようにしたいという方は、Excelファイルにご自分でデータを追加してください。
 なお、Excelファイルは、xls形式(Excel2003以前用)とxlsx形式(Excel2007、Excel2010用)の2種類を用意してあります。

http://pub.idisk-just.com/fview/iq8rUSMDST5jVCV1Il32ErPNkSWU5fDEg64j9VNwKeXe-YHkv7jAjijNTtSijxWOCy97nIEmYkw


(1)単語を一括登録するための手順
 MS-IMEで単語を一括登録するには、まずユーザー辞書をいったん出力しておき、その出力したファイル人登録するデータを追加します。その後上書き保存してから、MS-IMEでそのファイルの読み込みを行うという手順になります。
 ユーザー辞書はこれまで自分が登録した単語がすべて入っている、いわば世界で一つしかないデータなので、万一の場合を考えてバックアップを保存するようにしておきます。

(2)ユーザー辞書の出力
 MS-IMEの「ツール」ボタンをクリックして「ユーザー辞書ツール」をクリックします。「ユーザー辞書ツール」が起動するので、下図のように「ツール」メニューから「一覧の出力」をクリックします。

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 「一覧の出力:単語一覧」というダイヤログボックスが表示されます。これは「名前をつけて保存」ダイヤログボックスと実態は同じなので、ユーザー辞書を保存するフォルダ(後の作業もあるのでわかりやすい場所のほうがよいと思います)を指定します。
 なお、ファイル名は「outpu1.txt」とつけられています。バックアップ・ファイルをつくるために、ファイル名を「output0.txt」に変更して「保存」ボタンをクリックします。
 保存が完了したら、もう一度同じ操作を繰り返して、今度は「output1.txt」という名前でファイルを保存します。

(3)ユーザー辞書にデータを追加する
 エクスプローラを使って、今回保存したユーザー辞書のファイル「output1.txt」をダブルクリックして開きます。(テキストファイル形式で保存されているので「メモ帳」が起動します。)ついでに、インターネットディスクからダウンロードした「年号-西暦変換(一括登録用)」Excelファイルも開きます。
 Excelファイルに保存されている3列分のデータを最終行までドラッグしてコピーしてから、「output1.txt」ファイルの最後の行の次にペースト(貼り付けします)

(メモ帳でユーザー辞書ファイルを開いたところ)
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(Excelファイルのデータを貼付けたところ)
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 貼付けが完了したら、「ファイル」メニューで「上書き保存」を行い、メモ帳を閉じます。

(4)ユーザー辞書ツールで「ツール」メニューから「テキストファイルからの登録」をクリックします。「テキストファイルからの登録」ダイヤログボックスで、先ほど上書き保存した「output1.txt」ファイルを選択して「開く」ボタンをクリックします。
 「登録処理を終了しました」と表示されたら「終了」ボタンを押して、ユーザー辞書ツールを閉じてください。
 単語登録が正常に行われているかどうかをテストします。「しょうわ30ねん」と入力して「1955年」という変換候補が表示されれば、一括登録は完了です。バックアップファイル「output0.txt」も不要ですから、削除しておきましょう。
by t_am | 2012-09-21 18:35 | 案外知られていないWordの機能
 Wordで作成した文書を保存するときに、表示される「名前をつけて保存」ダイヤログボックスでは、ファイル名のところに、作成した文書の最初の段落にある文字列が送り込まれるようになっています。(下図参照)
 
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 これは、ユーザーフレンドリーというか悪女の深情けというか、便利なときもあればそうでないときもあるという機能だと思います。最初の段落の文字列が文書のタイトルである場合、そのまま「OK」ボタンをクリックすれば保存できるので、いちいちファイル名を入力する手間が省けるという利点があります。ところが、文書によっては、最初の段落が日付であったり、あるいは(手紙のように)いきなり本文が始まる場合もあるわけですから、そういう場合にはファイル名を入力してやらなければいけません。まあ、入力しなくてもいい場合もあるということで、それは評価すべきことなのかもしれません。

 「名前をつけて保存」ダイヤログボックスが表示された状態では、よく見ると、ファイル名のところに表示されている文字列が反転表示されており、全体が選択状態になっていることがわかります。この状態で、正しいファイル名を入力すれば、既存の文字列はそれに上書きされます。(つまり、DeleteキーやBackSpaceキーを押す必要はないということです。)
 もしくは、文書の中にファイル名にしたい文字列がある場合、それをドラッグしてコピーしてから、「名前をつけて保存」ダイヤログボックスを表示させ(Ctrl+Sキーで表示させることができます)、すぐにCtrl+Vキーを押して、コピーした文字列を貼り付けることもできます。

さらには、少々トリッキーですが、最初の段落にファイル名にする文字列を入力した状態でCtrl+Sキーを押して「名前をつけて保存」ダイヤログボックスを表示させて文書を仮の状態で保存してから、最初の段落を削除してそのまま上書き保存するという方法も考えられます。

いずれにせよ、反転表示されて選択状態にある文字列は他の文字列で上書きすることができる、ということは覚えておいて損はないと思います。
by t_am | 2012-09-15 16:46 | 案外知られていないWordの機能
 Wordを使っていて、何かの拍子に、文字を入力するたびにそれまであった文字がどんどん消えていくようになってしまい、慌てた経験がありませんか?
 これはパソコンの「Insert」キー(機種によっては「Ins」と表示されています)を間違って押すことにより、文字入力のモードが切り替わったことが原因で起こります。

 Wordには、「挿入モード」と「上書きモード」の2種類が用意されており、現在の入力モードがどちらなのかは、Wordの画面左下にステータスが表示されています。

(挿入モードのステータス)
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(上書きモードのステータス)
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 入力モードの切替えはInsertキーを押して行うか、ステータスをクリックします。もしも、Insertキーを押しても上書きモードに切替わらない場合は、ステータスを直接右クリックして、「上書き」を選択します。
 上書きモードを絶対に使用しないという場合、誤ってInsertキーを押して入力モードが切り替わらないようにするために、リボンの「ファイル」タブをクリックして「オプション」の「詳細設定」を選択します。
 下図の画面で、「上書きモードの切替えにInsキーを使用する」のチェックを外します。このチェックがオンになっていると、Insertキーを押すたびに入力モードが切替わることになります。また、上書きモードをデフォルトにしたい場合、「上書きモードで入力する」のチェックをオンにします。

(上書きモードの設定)
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(挿入モードとは)
文字を入力するときに、カーソルが点滅している位置に文字を割込ませていきます。したがって、そこに既存の文字列があれば、文字を新たに入力するたびに、後ろに追いやられていくことになります。


(上書きモードとは)
 上書きモードでは、そこに既存の文字列があるとその上に新たな文字列を上書きしていくので、既存の文字列は失われてしまいます。また挿入モードとは異なり、スペースキーを押すたびに、既存の文字列は消えていき、空白文字に上書きされます。DeleteキーとBackSpaceキーの効力は挿入モードと変わりません。


 文字を入力する際に、それぞれのモードの違いは上の2つの図を比較するとわかります。挿入モードでは改行マークが表示されたままになっていますが、上書きモードでは改行マークが消えてしまっています。(実際に改行マークが消されているわけではありません。)
 通常、挿入モードと上書きモードを切替えて使うということはないと思いますし、どちらがすぐれているというものではありません。昔のワープロ専用機には上書きモードがデフォルトだった(その代わり「1文字挿入」というキーがあり、途中で文字列を挿入したい場合に使っていました。)ものもあり、特に不自由な思いはしていませんでしたから、要は慣れなのだと思います。
 なお、リボンに表示されていないコマンドとして、Wordには「全角スペースの挿入」と「半角スペースの挿入」が用意されているので、上書きモードを常時使いたいという人は、いつでもこのコマンドを使えるようにしておいた方が便利だと思います。

(「全角スペースの挿入」をいつでも使えるようにするための設定方法)
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 リボンに新たにコマンドボタンを追加するには、リボンをカスタマイズする必要があります。

1.リボンの「ファイル」タブをクリックして、「オプション」から「リボン」のユーザー設定をクリックします。(上の図の画面が開きます。)

2.「コマンドの選択」で「リボンにないコマンド」を表示させます。

3.「新しいタブ」ボタンをクリックして、リボンに新しいタブをつくります。「名前の変更」ボタンをクリックして、新しくつくったタブに「カスタム」という名前をつけておきます。

4.次に、「新しいグループ」ボタンをクリックします。

5.左側のコマンドボタン一覧を下にスクロールしていくと、「全角スペースの挿入」があるので、それをクリックしてから、「追加」ボタンを押して、先ほどつくった「カスタム」タブの中にある「新しいグループ」に追加します。(同様に「半角スペースの挿入」も追加しておきます。)

6. 最後に、「OK」ボタンをクリックしてダイヤログボックスを閉じます。

追記
 挿入モードであれば、全角スペースの挿入というコマンドボタンをわざわざ設ける必要はありません。スペースキーを押すことでそれが可能だからです。
by t_am | 2012-09-15 16:01 | 案外知られていないWordの機能
 人間が文字を書くのは人に見せるためです。例外はありません。人に見せる必要がなければ自分の胸の中にしまっておけばいいのですが、わざわざ文字を起こすからには、それを誰かに見せるためにそんなことをするのだということになります。たとえば、手帳にメモをとるのも日記を書くのも、未来の自分に見せるために書いていることになるのです。 したがって、文章を書くときには、読者を具体的に想定して書いた方が文章の出来はよくなります。
 以上は文章の中身の話ですが、これから申し上げるのは文書の体裁の話です。人に見せる以上、体裁が整っていた方が読みやすくなりますし、型をきめることによって書きやすくなるという面もあります。
 現代人はパソコンを使って文章を書いていますが、私自身パソコンの教育を受けたという経験がありません。すべて独学でやってきただけに、自分が知らないこともあると思います。そこで、この際きちんと勉強し直すというつもりで、Word について書いてみることにしました。


 今回は、「揃える」という視点でWordに備わっている機能について書いてみたいと思います。

 見栄えのする文書をつくる際に、気を配るポイントのひとつに「位置を揃える」というのがあります。ひとつ上の行の文字列と位置を揃えるためにスペースキーを使っている方もいらっしゃるかもしれません。うまくいくこともあれば、うまくいかないこともあって、たぶんストレスを感じることがあるのではないかと思います。そのようなイライラを解消するためにも、Wordに備わっている機能を活用できるようになった方がいいと思うわけです。

Wordには位置を揃えるためのツールが8つ用意されています。

①中央揃え
②右揃え
③左揃え
④両端揃え
⑤均等割付け
⑥インデント(開始位置)の調節
⑦1行目と2行目以降のインデント(ぶら下がりインデント)の調節
⑧タブ揃え

(文字列を揃えるためのツールボタンの配置)
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 なお、この図にあるように、Wordの揃える機能を使いこなすには「ルーラー」という定規の表示が必要になります。そのために、リボンの「表示」タブをクリックして「ルーラー」のチェックをオンにしておくか、ルーラーの表示切り替えボタンをクリックします。(下図参照)

(ルーラーの表示)
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(ルーラーの表示切替ボタン)
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 それともう一つ述べておくと、これらのツールを使う場合は原則として段落(文章を入力していてEnterキーを押して改行するまでの範囲のこと)単位で適用されます。したがって、異なる段落には適用されません。ですから、複数の段落に適用させたい場合は、それらの段落を全部ドラッグして選択状態にしてから、ツールを適用する必要があります。ただし、これらのツールが適用されている段落での文字入力が終わって改行した場合、その次に新たに設けられた段落にも同じ設定が自動的に引継がれることになります。


1.中央揃えと右揃え
これらは「読んで字のごとく」、文字列を行の中央と右端に配置するためのツールです。それぞれ「何に対して揃えるのか」については、この次に述べます。

2.左揃えと両端揃え
  この2つは、文章の開始位置を左端とするという点では同じですが、右端をどこにするかという点で異なります。
  具体的には下図をご覧ください。この文章は3つの段落から成り立っていますが、最初の2つの段落は左揃えに設定されており、3番目の段落は両端揃えに設定されています。
「左揃え」の場合、文字列の終わりは図の赤い線のところで統一されていますが、禁則処理(行頭に句読点が来ると見苦しくなるので、前の行の末尾に句読点を移動させる処理のこと)を行う場合に限り句読点がその右側(青い線の内側)にはみ出しています。
  一方、両端揃えの場合は、行の末尾が青い線に統一されています。すなわち、禁則処理が行われても、文字の間隔が調節されるので、行の末尾が不揃いになるということはありません。

 (左揃えと両端揃えの違い)
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  つまり、「左揃え」とは文章の左端のみを揃える(禁則処理が行われた場合、句読点が右端から飛び出す)のに対し、「両端揃え」は文章の左端と右端の両方を揃えるという違いがあります。

  ただし、「例外のない規則はない」という言葉の通り、2行目以降のインデントを調節した場合、禁則処理を行ったときは、句読点は右端に飛び出ることになります。このことは後で詳しく書きます。

(画像「2行目のインデント・両端揃えの例外」
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3.均等割付け
  均等割付けは、下図のように上下に隣接する文字列と長さを揃えたい場合や、タイトルのように文字の間隔を適度に空けて目立たせたいときに使用します。その結果、文字列は指定された長さに合わせて文字の間隔が自動的に広がることになります。
  操作方法としては、均等割付けしたい文字列をドラッグして反転表示させてから「均等割付け」ボタンをクリックし、文字列の長さを何文字分にするのかを数値で指定することになります。このとき注意したいのは、間違って改行マークまでドラッグしてしまうと、横1行すべてを使って均等割付けされてしまうことになるということです。
 
(均等割付け)
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4.インデント(開始位置)の調節
  インデント(開始位置)とは、その行の中でどこから文字列を開始するのかを示すマーカーのことをいいます。別ないい方をすれば、(横書き文書の場合)文字列の左端の位置を示すマーカーのことであるということになります。
  開始位置を右にずらす(インデントを増やす)には、下図のボタンの中にある「インデント(開始位置の調節)ボタンのうち右向矢印のあるボタンをクリックします。逆に、開始位置を左にずらすには、その左横にある左向矢印のあるボタンをクリックします。
  なお、このツールは、インデントを揃えたい段落をすべて選択した状態にしてから使った方が作業の無駄が省けます。

(ツールボタンの配置)
c0136904_13302664.jpg



5.1行目のインデントと2行目以降のインデント(ぶら下がりインデント)の調節
  前項に述べたインデントの調節ボタンをクリックすると、ルーラーの左端に下向き▼と上向き▲と■が一緒にスライドすることがわかります。インデントの調節ボタンをクリックすると、1文字分ずつインデントがスライドしていきますが、場合によってはインデントの位置を微調整したいときもあると思います。そのようなときには、マウスを使ってルーラーに設置されているインデントマーカーの位置を動かします。(位置の調整中は、マーカーから垂直方向に線が引かれて表示されるので、位置設定の目安となります。)
  
・下向き▼    
1行目のインデントを調節するためのマーカーです
・上向き▲   
 2行目以降のインデント(ぶら下がりインデントといいます)を調節するためのマーカーです
・■      
 上記2種類のインデントを同時に変更するためのマーカーです。ぶら下がりインデントが設定されている場合、1行目との差分を引き継いで調節します。

  なお、インデントマーカーには、ルーラーの右端にも上向き▲が設けられています。これは、その段落の右端(折り返し地点)を設定するときに使います。

  実際にインデントマーカーをマウスで動かしてみると、ステップを刻むようにして位置が動いていくことがわかります。このままでは位置の微調整ができないので、マウスでインデントマーカーをクリックしたときに「Alt」キーを押してみましょう。するとルーラーの表示が代わり、インデントマーカーの位置変更がスムーズに行えるようになります。

(インデントマーカーの微調整)
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6.タブ揃え
  インデントマーカーを使うことで行の開始位置を設定することができますが、たとえば飲食店のメニューのように、行の途中で文字列の位置を揃えたいという場合もあると思います。その場合「タブ揃え」というツールを使います。

(タブの使用例)
c0136904_13324812.jpg



  タブ揃えには、「左揃え」「中央揃え」「右揃え」「小数点揃え」「縦線」の5種類があり、それらを切り替えるには縦ルーラーの上にある「タブセレクタ」をクリックします。タブセレクタをクリックした順番に「左揃え」→「中央揃え」→「右揃え」→「小数点揃え」→「縦線」→「1行目のインデント」→「ぶら下がりインデント」というふうに切り替わっていきます。

(タブセレクタ)
c0136904_13333732.jpg



・左揃え    文字列の開始位置(左端)を設定します
・中央揃え   設定されて位置を中心に文字列を揃えます
・右揃え    文字列の末尾(右端)を設定します
・小数点    文字列の中に含まれる少数点の位置を設定します
・縦線     設定した位置に縦線を自動的に表示します

(タブマーカーの使い方)
  タブセレクタをクリックして、設定したいタブの種類を選択します。次に、ルーラーの上の任意の場所をクリックします。タブマーカーは、このクリックした場所に設定されます。いったん設定したタブマーカーの位置を調節するには、Altキーを押しながらタブマーカーをドラッグします。(タブマーカーをルーラーの外にドラッグすると、削除することができます。)

(タブセレクタをクリックして右揃えを表示させる)
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(ルーラーをクリックしてタブの位置を決定)
c0136904_13343366.jpg


(揃えたい文字列の左端をクリックして)
c0136904_13345086.jpg


(Tabキーを押します)
c0136904_1335714.jpg


(改行すると次の段落にも右揃えタブが引継がれます)
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  なお、タブの設定は、そのときカーソルがある段落だけに有効です。複数の段落に同じタブマーカーを設定したい場合、それらの段落をドラッグして選択状態にしてから、タブマーカーを設定します。また、タブマーカーが設定されている段落を改行した場合、タブマーカーは次の段落にも引き継がれることになります。

(タブリーダーの表示)
  タブ揃えした文字列の間に、リーダーと呼ばれる線を表示させることができます。そのためには、「タブとリーダー」ダイヤログボックスを表示させる必要があり、それには2種類の方法があります。
  手っ取り早いやり方としては、タブマーカーが設定されている段落のうちどこでもいいのでクリックして、ルーラー上にタブマーカーを表示させます。次にタブマーカーをマウスの右ボタンでダブルクリックすると「タブとリーダー」ダイヤログボックスが表示されます。
  オーソドックスなやり方としては、リボンの「ホーム」タブの中にある「段落」セクションの右下にあるボタンをクリックして「段落」ダイヤログボックスを表示させてから、左下にある「タブ設定」ボタンをクリックする方法があります。

(タブとリーダーダイヤログボックスの表示させるには赤丸のところをクリックします)
c0136904_13402447.jpg



(タブとリーダーダイヤログボックス)
c0136904_13405989.jpg



  リーダーは、このダイヤログボックスで選択したタブマーカーの左側に設定されます。タブマーカーは、図のように、それぞれ左端から○○文字というふうにタブ位置で表示されているので、どれかひとつを選択します。そのうえで、リーダーの種類を選択してOKボタンをクリックします。なお、このダイヤログボックスで、タブの種類を変更することもできます。



 なお、今回取り上げたWordの機能はWord2003以前のバージョンでも使えます。特に、2行目以降のぶら下がりインデントやタブ揃えは、レポートを作成するときには重宝するので、覚えておいて損はないはずです。
by t_am | 2012-09-15 13:46 | 案外知られていないWordの機能
 民主党の代表選挙と自民党の総裁選挙が近づくなかで、「決められない政治」という言葉をよく耳にします。決められない政治というのは、衆議院と参議院の勢力が逆転していることから生じるねじれ国会が直接の原因なのですが、今年度の赤字国債の特例法案を始めとする重要法案が成立しないことから、決められない政治=悪という図式を作り上げようという意図があるように思えます。

 最初のねじれ国会の発生は、安倍内閣のときでした。小泉改革を踏襲すると思われた安倍元総理はなかなかエネルギッシュにいろいろな改革に取り組む姿勢を見せたわけですが、そのスピードの速さに不安を感じた人たちが参議院選挙で民主党に投票した、というのが発端です。
 その後、安倍内閣の終わりに衆議院選挙が行われ、民主党が大勝することによってねじれ国会はいったん解消しました。ところが、菅総理が突然打ち出した消費税率の増税は避けられないという主張により民主党が大敗し、ねじれ国会が再び発生したわけです。

 このように、有権者の投票行動の結果としてねじれ国会という現象が発生しているのには理由があります。それは何かというと、「何でもかんでも勝手に決められては困る」という国民の意思がねじれ国会を発現させたのだということです。

 ゆえに、現在の決められない政治というのは、実は民意の発露以外の何物でもないということになります。そのような状況の中で、総理大臣が1年毎に替わっていくというのは、(歴代総理にはお気の毒ですが)日本のリーダーとしての資質と能力に欠けていたからにほかなりません。
 すなわち、ねじれ国会や総理大臣が1年で替わることに問題があるのではなく、何ら学習しようとせずに同じことを繰り返している政治家の方に問題があるということです。いわば身から出た錆というべきなのですが、その責任はひとえに政治家の側にあります。
 民主党代表選の有力候補とみなされている野田総理も学習能力のない人であり、国民に対して情理を尽くして説明するということの重要性がまるで理解できない政治家の一人でもあります。したがって、この人が代表として再任された民主党が次の選挙で大敗するだろうという予測には、どなたもご同意をいただけるものと思います。

 何でもかんでも勝手に決められては困る、というのが声にならない国民の声であるのに対し、「決められない政治からの脱却」を訴える人たちがいます。

「決められない政治脱却を…経済・労働界有志提言」(9月6日付読売新聞より)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120906-OYT1T01271.htm

 また、決断することを売り物にしている新党もあるようですが、大切なのは決断するという行為よりもむしろ決断の中身の方であるという小学生もわかる理屈が忘れ去られようとしているようです。

 結果の善し悪しを度外視すれば、決断するのは誰でもできることです。むしろ、もっとも困難でありながら欠かせないのは「反対する人たちを説得すること」の方です。ところが、決断するのはよいことだというイメージを植え付けることにより、反対する人たちを説得する手間を省いてもよいという雰囲気ができつつあるように思います。
 そういうふうにして決まった政策や法案が国民を幸せにするかというと、そうではないということが今の日本社会を見るとよくわかると思うのですが、「改革」や「決断」という威勢のいいキャッチフレーズについフラフラとなってしまうのでしょう。

 いいかげん目を覚まさないと後で後悔しますよ。
by t_am | 2012-09-10 21:55 | その他
 連日、自民党総裁選と民主党代表選のニュースが報道されています。政党内のトップを決める選挙であると同時に、次の総理大臣になるかもしれない人が決まるわけですから注目度が高くなるのも当然といえます。
 あと二週間もすれば、自民民主とも誰がトップになるか決まるわけですが、そうなればなったで、今度は国会の解散がいつ行われるのかが焦点となります。
 選挙になれば民主党が大きく勢力を後退させる(=負ける)ことは間違いないので、民主党の次期代表の有力候補である積み残した重要法案(今年度の赤字国債発行法案も含まれています)を成立させるまでは解散する意思はないようです。これに対し、自民党は一日も早く政権を奪回することを目指しており、そのためには国会での審議拒否も辞さないという構えを打ち出していますから、重要法案の成立はいつになるのか不透明であるといえます。

 政権を握った後の民主党の凋落は、鳩山政権時代の沖縄米軍危機の移設問題での迷走(結局現状維持になりつつある)がきっかけであり、その後、菅総理が参院選で打ち出した消費税の増税によって大敗し、国会でのねじれ現象を招いたことがもっとも大きな要因であるといえます。

 野田総理が消費税の増税を半ば強引な形で進めたときに、小沢一郎氏は「マニフェストに書いていない」という理由で反対しました。それはそれで理の通った発言なのですが、さらに一歩踏み込んで、「前回の参院選で消費税の増税を打ち出した結果大敗したのだから、(増税は)民意に背くものである」とどうして言わなかったのでしょうか?

 マニフェストに書いていることは実行してよいが書いてないことは実行してはいけない、という理屈は筋が通っているように見えますが、私には政治家の思い上がりが透けて見えるような気がしてなりません。というのは、マニフェストに書いてある政策が仮に10項目あったとして、有権者はそのすべて賛成していなくとも投票することがあるからです。むしろ、そういう人の方が多いと思うのですが、政治家の発想はそうではありません。「自分は民意によって選ばれたのだから、自分の行動は有権者から信任されているのだ。」と考えるようです。けれども、小選挙区制のもとでは、有効投票数の中で最大の得票率を確保すれば当選できるのですから、有権者の過半数が投票していない人(その中には棄権した人も含みます)でも当選することも可能になります。
 したがって、マニフェストを掲げて選挙を戦った結果政権を獲ったといっても、マニフェストの項目をすべて国民が受け入れたとみなすのは強弁であるということになります。

 また、マニフェストに書いて選挙に臨むということは、建前としては、その政策について国民の信を問うということでもあります。菅総理が参院選で大敗したのは、消費税の増税がマニフェストに書いてなかったからではなく、国民の多くが消費税の増税を受け入れたいとは思わなかったからです。
 したがって、小沢一郎氏としては、「消費税の増税に対する国民の判断は既に前回の参院選の結果ではっきりしているのだから、野田政権が消費税の増税を進めることは民意に背くものである」と言っておけばよかったのです。
 けれどもそうしなかったというのは、思うに、小沢氏の中では、消費税の増税は必要であるという気持ちがあったのではないでしょうか。それではなぜ増税に賛成しなかったのかといえば、賛成すれば次の選挙で負けると思ったからにほかなりません。この場合の「選挙で負ける」という意味には、「民主党が議席を失う」という意味と「候補者としての自分が落選してしまう」という意味の二通りがあります。小沢一郎氏ほどの大物政治家であれば、自分が落選するとは思いもしないでしょうが、その他大勢の民主党議員には重大な危機として受け止められたはずです。
 
 前回の参院選では、自民党も消費税の増税を打ち出していたのに民主党だけが大敗したのだから、消費税の増税が民意に背かれたというのはあたらないのではないか、という反論もあるかもしれません。これに対しては、同じ政策を打ち出しても与党と野党とでは政策の重みがまるで違うということを申し上げておきます。どれだけ理想的な政策を掲げていても野党である限りそれを実現する能力はないのですから、まともに取り合ってもらえません。けれども与党であれば、政策の実現性は現実味を帯びてくることになります。したがって、与党には政策を実現させるだけの力が与えられる代わりに責任(次の選挙で落選すること)も負うことになります。一方野党にはそもそも力がないのですから責任をとることもないということになります。現に、三党合意により消費税の増税が国会で可決されたわけですが、自民党も公明党も次の選挙で自分たちが負けるとはこれっぽっちも思ってはいません。なぜならば、増税を決めたのは民主党政権であって、その責任は民主党が負うということになるからです。

 政党支持層よりも浮動層の方がはるかに多い今の日本社会では、民主党の賞味期限はとうに尽きたといってよいでしょう。党内に反対意見があるとはいえ、野田総理の進めていること(原発の再稼働、消費税の増税、TPPへの参加、改正著作権法の修正案の成立、障害者総合支援法の成立など)をみていると、自民党と大差ないことをやっているようにみえます。また、国会答弁を聞いていると自民党(後に自公)政権時代の閣僚答弁と同じ答え方をしていることに気付きます。
 こうしてみると、個々の政策についての意見の対立はあるかもしれませんが、政策の方向性としては、実は自民党も民主党も大差ないのではないかと思えてなりません。民主党が掲げたマニフェストは既に大半が空中分解している状態です。(そういえば、鳩山元総理が提唱した「コンクリートから人へ」や「新しい公共」というスローガンはいったいどこへ行ったのでしょうね?)
 したがって、次に行われる選挙は、これといった争点のない珍しい選挙になるのではないかと思っています。いや、日本維新の会があるではないか、と思われるかもしれませんが、この政党の主張を一言でいえば「改革」ということに尽きます。けれども、大阪の公務員制度改革も教育改革もまだ結果は出ていません。公募区長はスタートしたばかりですし、校長の公募制はこれから行われます。さらに、東国原前知事も中田前市長も彼らが訴えた改革の結果が出る前に辞めちゃった人たちです。このように、日本維新の会が掲げる改革の妥当性についての判定はまだ出ていない状態ですし、傘下の政治家たちの政策遂行能力にも疑問符がつきまといます。言うなれば、改革という言葉の持つイメージに(今のところ)乗っかっているだけの政党といっても過言ではありません。

 結局のところ、次の選挙の争点は、有権者の好き嫌いということになるのだと思います。なんだか小学校の学級委員の選挙みたいですね。
by t_am | 2012-09-09 09:11 | その他
2.被災地のがれきの広域処理について-放射性物質の拡散と濃縮-
 福島を除く宮城・岩手の震災がれきについて、受入れを表明した自治体ではそれぞれ根強い反対の声があるようで、8月30日に大阪で行われた説明会でも反対する人たちが大勢詰めかけたとのことです。ここでいう「受け入れ」には焼却と埋め立ての2種類の意味があるのですが、まず焼却について考察を進めます
 受入れ処理に反対されている人の気持ちは、放射性物質を自分たちの住んでいるところに持ち込んでほしくないというものでしょう。関西以西の地域であれば、福島第一原発から飛散した放射性物質も届いていないのですから、その気持ちは理解できます。また、第三者の立場から、放射性物質を拡散させるのは許されないと述べる人もいます。
 そのような反対意見について、私は程度の問題だろうと思っています。自然界にはもともと放射性物質など存在せず、すべて原発や核爆弾に由来するというのであれば私も「放射性物質を持ち込むな」という反対意見に同意するのですが、実際には世界中どこへ行っても放射性物質は存在しているので、放射線による被曝がゼロであるというわけではありません。震災がれきで広域処理(焼却)が可能なのは240ベクレル/kg以下ですから、その基準を満たすがれきを受け入れても、焼却処理がルール通りに適切に行われているのであれば、受け入れ先での年間被曝量(空間線量)がさほど増えるとは思えません。また、放射線がどこまでも飛んでいくというものでもありません。
 したがって、震災がれきの受け入れを表明している自治体では情報公開をきちんと行い、住民の不安を取り除くことが必要となります。たとえば、震災がれき(焼却前)の至近距離で測定した線量と、10m、50m離れた地点で測定した線量を一緒に測り、どのように変化するのかをきちんと知らせるようにすれば、放射性物質といっても近くに寄らなければ被曝することはないということが理解してもらえると思います。

 震災がれきの処理でむしろ問題と思うのは、焼却によって放射性物質が「濃縮」された焼却灰の処理をどうするかということです。これについて、環境省は、次のように基準を定めています。(いずれも1kgあたりの放射能濃度)

100ベクレル以下-製品段階で基準内ならセメントなどに再利用可能
8,000ベクレル/kg以下-管理型処分場に埋め立て可能
8,000ベクレル超~10万ベクレル以下- 安全性を評価して埋め立て可能
10万ベクレル超-コンクリート壁など放射線を遮蔽できる施設で管理

 つまり、8,000ベクレル/kg以下であれば通常通り埋め立てしてもよいとしているわけです。


参考:よくあるご質問「Q9 広域処理されるがれきについての、安全性の基準値は?」
http://kouikishori.env.go.jp/faq/


参考:8,000Bq/kgを超え100,000Bq/kg以下の焼却灰等の処分方法に関する方針について(お知らせ))
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=14161
 

 実をいうと、環境省が定めたこの基準はダブルスタンダードといってもよいと思います。というのは、既にいろいろな方が指摘されているように、原子炉等規制法ではセシウム137(半減期30年)について、100ベクレル/kgを超える場合は放射性廃棄物として扱うことが定められているからです。

参考:「原子炉等規制法第61. 条の2に基づいて定められた規則」別表
http://www.lawdata.org/law/htmldata/H17/H17F15001000112.html

註:この別表ではセシウム137については0.1ベクレル/gと記載されています。

参考:100Bq/kg と 8,000Bq/kg の二つの基準の違いについて
http://www.env.go.jp/jishin/attach/waste_100-8000.pdf


 つまり、これまで放射性物質を扱っていた施設(病院や大学なども含む)では100ベクレル/kgを超えた場合は、放射性廃棄物として厳重に管理する事が義務づけられているのですが、がれきの焼却灰や下水の汚泥などに含まれている放射性物質については、8000ベクレル/kg以内であれば普通に埋め立てをしてもよいということなのです。これはかなり乱暴な基準を定めたものだと思います。おそらく、これまでの100ベクレル/kgという基準だけでは、事実上処理ができなくなるので、いつまでもがれきが残ってしまうということから、急遽設けたものだと思われます。このようなやり方は、昨年設けられていた食品の暫定規制値の決め方にそっくりです。これも、厳しい基準のままでは食品の流通が混乱してしまうという恐れから、一時的に規制値をゆるくしたわけです。ところが実際には思ったよりも放射能濃度が高くないということがわかったので、厳しい規制値に改めたわけです。
 これらの2つの事例から伺えるのは、政府は国民の健康や安全よりも社会を混乱させないという方を優先させるということです。身も蓋もないいい方をすれば、国民に健康被害が出たとしてもそれは何年も先のことであり、その頃になれば原発事故との因果関係を立証することはできっこない(因果関係が立証できないものは、症状がでていても補償の対象にしないというのは厚生労働省の伝統的な考えかたです)のであり、それよりも当面の混乱を回避する方を優先した方がいい、という判断をした人たちがいたということです。
するという厳しい規制値を設けて経済や社会が混乱すれば責められるのは自分たちなわけですから、それよりも国民の健康や安全には目をつぶり、規制値をゆるくすれば自分たちが責められることはないと考えたのだと思われます。
 その背景にあるのは、突き詰めていくと、放射性廃棄物の最終保管場が実は日本のどこにもないという現実です。放射性物質の持っていき場所がないために、その施設の中で保管するしかありませんでした。同じようなことが、放射性物質の濃縮された汚泥(下水道由来のもの)でも起きていますし、福島県内でも除染した校庭の土の行き場所がないために同じ校庭の片隅にブルーシートをかけて置いたままにしているということも起きています。
 被災地(福島以外)のがれきを受け入れるということが現実に行われるようになると、これらと同じことが全国の各地で発生することになります。受け入れたがれきの焼却灰を処分場の敷地内に積んでおくしかないということになれば、受け入れを表明する自治体はなくなってしまうので、環境省では基準をゆるくして、通常の埋め立てができるようにしたわけです。
 ここで気をつけなければならないのは、震災がれきを通常のゴミと一緒に燃やしてしまえば、その焼却灰に含まれる1kgあたりの放射性物質の濃度はいくらでも下げられるということです。そうすれば震災がれきの処理は進みますが、埋め立て場に蓄積される放射性物質の総量はどんどん増えていくことになります。放射性物質が集められても、外部に放射線がもれないように厳重に管理されていれば何の問題もないのですが、埋め立て場はそうではありません。土壌汚染や地下水の汚染を起こすのではないかという心配はつきないのです。

 東日本大震災復興構想会議 が昨年6月25日に発表した「復興構想7原則」の5番目には「被災地域の復興なくして日本経済の再生はない。日本経済の再生なくして被災地域の真の復興はない。」と書かれています。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/fukkouhonbu/dai1/siryou5_1.pdf


 このいい方には強い違和感を覚えてなりません。震災からの復興は、本来ならば経済とは関係がないはずです。復興によって経済が活性化するということはあるでしょうが、復興と経済をことさら結びつける必要があるとは思えません。もっとも、復興にかかる資金(財源)を捻出するために経済成長(=経済の再生)が欠かせないという理屈はあるかと思いますが、手持ちの財源で復興を進めていくというのが政治家の手腕であるはずです。
 ですから、この表現は、復興を口実にして経済成長を進めていくぞという政府の宣言に聞こえてしかたないのです。そこには、国民の健康や安全という言葉や視点はありません。その延長が、放射性廃棄物や濃縮された放射性物質の最終保管場がどこにもないままの状態で、埋め立て場に震災がれきの焼却灰を埋め立てるということになるわけです。
 したがって、埋め立て場の近くに住む住民が震災がれきの受け入れに反対するのは当然であると私は思います。なぜなら、それは「本来そこに持ち込んではいけないもの」だからです。にもかかわらず、そのような違法行為を環境省という一省庁の決定だけで行えるというのは、どう考えてもおかしいと思います。
 放射性廃棄物の最終保管場の問題に何の進展もない(政府が福島県に設置しようとしているのは「中間貯蔵施設」です)まま、政府は大飯原発の再稼働を決め、今後も原発を維持していきたいとも考えているようです。
 これまで、最終保管場を設けることを怠ってきたことが混乱を招いているという事実に目をつぶって同じ愚を繰り返そうとしていることに、私は憤りを感じます。
by t_am | 2012-09-01 08:06 | その他