天下りを無害なものにするための私案
官僚による「居酒屋タクシー」の慣行が非難を浴びています。それは単純化すると、タクシーチケットという「利権」が自分の利益に合法的に結びついたということに集約されます。ここで合法的というのが重要であって、タクシー運転手から接待を受けた官僚は法を犯したわけではありません。
道路特定財源のお金を使ってマッサージチェアを購入していた事例がありましたが、あれも違法ではありません。官庁というところはまるで、公金を自己の利益のために合法的に費消するための手練手管を習得するための場であるかのようです。官僚は双六を進むようにして、様々な手法を編み出していき、その上がりが天下りということになります(誰もが上がりに到達できるわけではないようですが)。
天下り先の公益法人などで使われるお金というのは、調査費や研究費という名目の公金です。つぎ込まれたお金が年度末で余っていると、翌年からその分が削られることになるので、収入を安定して確保するためにはどうやって使い切るかということが腕の見せ所となります。
そのあたりを考慮して以下の私案をご覧ください。
1.定年を65歳に延長する。例外は設けない。
退官後は年金で生活しなさい、というのが大原則です。官僚の皆さんは国民年金や厚生年金との統合をしたくないようなので、年金だけで生活するということを率先垂範していただきたいと考えます。
2.現在天下り先となっているすべての公益法人・独立行政法人などをすべて国営化する。
すべて国営化して、人事体系(特に給与・退職金・出張旅費規程)を全省庁一律に同じものとします(特別公務員は例外とします)。定年後の再雇用は行いません。
3.国営化された公益法人のトップには経営責任を負わせる。利益は国庫に納付する。
年度ごとの収支決算の結果、残ったお金は国庫に返納します。それができなかった組織のトップは経営責任をとってもらい、罷免します。
4.民間に天下る場合、国土法のような監視制度を設ける。
民間企業が官僚出身者を雇用する場合、届出を義務づけます。年末には給与支払い証明を提出させ、官の給与規定と照合し、それよりも給与が多い場合、公表することができるものとします。届出を怠ったり虚偽の報告をした企業の経営者には刑事罰が科せられます。
ただし、天下りにあたって、退職金を受け取らなかった場合は監視制度の適用除外とします。
ここまで書いてきて、所詮人ごとだと思うと何でも好きなことが書けるということに気づきました。
きっと、恒久減税の廃止を低減した財務省の皆様、後期高齢者医療制度を策定した厚労省の皆様、道路特定財源をレクリェーション費に充てた国交省の皆様、年金記録を紛失した社会保険庁の皆様、同じ気持ちだったのでしょうね。
でも、これは皆様が特殊な人間だというのではありません。状況如何では私もそうなってしまうように、人間は誰でもそうなってしまう資質を持ち合わせているのだと思います。 唯一異なるのは、皆様の場合、それが合法的であるという状況を意図的につくりあげているというところです。小心者にはなかなかできることではありません。