三十秒でまとめる社会契約論
社会契約論に基づく国の成り立ちをごく大雑把にまとめると以上のようになります。
ポイントは、
1)自分たちの権利を実現させるために
2)人々が集まって
3)国をつくった
4)国を維持するには人任せにせず国民が自ら努力を続けなければならない
というものです。
国をつくる目的は、自分たちの権利を実現させることなので、そのための実務を遂行するための政府が設けられます。政府には税金を集めて予算を執行する権限や治安を維持するための警察権といった強大な権力が与えられます。その強大な権力が誤った使い方をされないように監視するために議会を設け、その構成員である議員は国民の代理人として選挙によって選出されます。
ただし、議員の身分は終身ではなく、4年から6年程度の任期を設け、任期が満了すると再び選挙が行われ、その人が議員として適当であるかどうかを問われることになります。というのは、議員に緊張感をもたせ、政府との癒着を防ぐという狙いがあるからです。
最初に述べたように、人権というのは人間がつくった決めごとですから、自分たちで拡張したり縮小したりといった変更を加えることが可能です。あるいは、誰かによって奪われることもありますし、信じられないかもしれませんが、自ら放棄することも可能です。
国が行使する権力が無軌道無制限であっては困るので、権力に制限をかけるためにあるのが憲法です。
法治国家である以上、憲法に違反する法律を定めることはできないという取り決めに基づいて、国は運営されます。ただし、憲法も決めごとにすぎません。ゆえに、自分たちで変更したり、極端な場合破棄することもできるのです。しかしながら、頭書に述べたように自分たちの権利を実現するために国づくりをするという考え方からすると、憲法が軽々しく変更されるようでは困ります。そこで、憲法を変更するにはかなりハードルの高い手続き(日本国憲法では両院で、総数の3分の2以上の議員の賛成によって発議し、国民投票によって過半数の賛成があったときに憲法を改正することができます。)ことはできないように決められています。
また、そのため、日本国憲法では99条において「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定めています。
といっても、これらもしょせんは決めごとにすぎません。これらの決めごとを破ろうとする者はいつか必ず現れます。