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カクレ理系のやぶにらみ

tamm.exblog.jp

時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

進む属国化

 自民党の石破幹事長は、現在の日米関係について危機感を抱いているかのようです。石破幹事長は、友達が強盗の襲われたならば助けに行くのが当然であり、日本が襲われたならばアメリカは助けてくれるだろうが、逆にアメリカが襲われても日本は助けに行くことができない。こういう日本に対して、アメリカは友達と思ってくれるだろうか。という意味の喩え話をその著書(日本人のための「集団的自衛権」入門、新潮新書)の中でしています。
 この喩え話は、一見非常にわかりやすいようですが、そもそも損得勘定を考えない友情を、損得計算をしなければならない外交の喩え話に用いることが適切であるとはわたしには思えません。義理人情で他国と折衝する外交官を想像してもらえば、これがいかに的外れなものであるか、おわかりいただけると思います。

 現在の日米安保条約では、アメリカは日本に対して防衛義務を負うものの、日本がアメリカの軍事行動に対して協力する義務はありません。このことに対して、アメリカ国民が不満を持つという話は理解できます。しかしながら、日本がアメリカに対してまったく貢献していないかというとそんなことはないのであって、在日米軍基地の提供とその駐留経費の一部として毎年二千億円程度の費用負担をしているわけです。
 アメリカの世界戦略における在日米軍基地の役割は決して小さなものではありません。そのような状況下で、アメリカが日本に対する防衛義務を一方的に破棄するということは、在日米軍基地を失うということを意味するわけです。したがって、在日米軍基地を失っても、それ以上のメリットがあるという場合でない限り、アメリカが日本を見捨てるということは考えられないのです。

 しかしながら、石破幹事長の主張は、この辺の事情をまったく無視しています。単に気づいていないのか、それとも知っていながら頬被りしているのかはわかりません。仮に前者だとしたら、政権党の幹事長としてはその無能さ、適格性の欠落を証明するものですし、後者だとしたら、いったいこの人は本当に日本の政治家なのだろうか、と疑ってしまうことになります。というのは、日本の利益を無視して、アメリカの利益に貢献しようとしているからです。

 「日米同盟」といういい方が今では一般的になりました。こういういい方をするようになったのは中曽根内閣以降ではないかと思うのですが、軍事的協力関係というニュアンスを持った言葉であるといえます。まず、新しい用語をつくりだし、それを頻繁に使うことによって国民の意識を少しずつ変えていくという手法がこのところ目立ちます。

 たしかに、敗戦直後とは時代も変わっているわけですから、今の時代に応じた日本の安全保障という枠組みを模索することは間違っているとは思いません。しかし、これまでの政府の行動を見ていると、日米同盟の強化という既定の路線以外に考えられないという硬直した思考法と、もはやなりふり構っていられないという姿勢が目につきます。

 日本=アメリカの属国という指摘がおおっぴらにされるようになったのも無理はないように思います。
by t_am | 2014-07-27 22:50 | その他