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カクレ理系のやぶにらみ

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時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

ミサイル防衛(MD)網と集団的自衛権

 4月6日にアメリカのヘーゲル国防長官が小野寺他防衛大臣と会談した後の共同記者会見の席上、2017年までに日本にイージス艦2隻を追加配備することを発表しました。これは北朝鮮の核ミサイルの脅威に対する防衛体制を強化するのが目的であることは明かです。ヘーゲル国防長官は、同時に、日本政府が集団的自衛権の容認に向けて準備をすすめていることついて支持すると述べています。
 このニュースに関して、日本のマスコミはどちらかというと、さらっとしか触れていません。むしろ韓国の中央日報の方が詳しく報道していますので、以下その紙面を引用します。


http://japanese.joins.com/article/813/183813.html
米国、日本にイージス艦2隻を追加配備
2014年04月07日08時10分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
米国が2017年までに、日本に北朝鮮の弾道ミサイルに対応可能なイージス艦2隻を追加で配備すると発表した。

日本を訪問中のチャック・ヘーゲル米国防長官は6日、小野寺五典防衛相との会談後に共同記者会見で「最近、北朝鮮が国連決議に違反するミサイル発射を行っている。北朝鮮の挑発と威嚇に対応する措置としてこのような決定を下した」と述べた。これに伴い、日本を拠点とする米国の弾道ミサイル対応型イージス艦は5隻から7隻になる。

ヘーゲル長官は「昨年10月、京都に2基目のミサイル防衛(MD)レーダー施設を設置した。アラスカ地上配置型迎撃ミサイルの増強に続いて今回の日本のイージス艦追加配備を通じ、北朝鮮の弾道ミサイルの威嚇に対する日本、米国本土の防衛力は飛躍的に強化される」とし、「加えて米国が日米同盟をどれほど重視しているのか見せるものだ」と強調した。

小野寺防衛相は「東アジアの安全保障のために日本にイージス艦を追加で2隻配備することはアジア太平洋地域にとって重要」と歓迎した。日本は現在、海上自衛隊が保有するイージス艦6隻(追加で2隻の導入を推進中)と米軍の増強されたイージス艦を連係させていく方針だ。

米国と日本はまた、日本の自衛隊と米軍の役割を規定した「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の年内改正に向けて両国間の協議をより一層加速化させることに合意した。この日の会談で、ヘーゲル長官は安倍晋三政権が集団的自衛権の容認に向けて憲法解釈の変更を進めていることについて「地域の平和と世界の安定に貢献するため積極的な役割を果たそうとする日本の取り組みを歓迎する」と述べて支持を示した。

ヘーゲル長官はまた、日本と中国が領有権をめぐって紛争中の尖閣諸島(中国名・釣魚島)についても「米国にとって日本はこの地域で最も協力的な同盟国であり最善の友好国」と述べ、「尖閣は日米安全保障条約第5条の適用対象であり、(中国の)力を背景とした現状変更の試みに反対する」と日本を後押しした。


 イージス艦を追加配備するというのは、要するに佐世保か横須賀の米軍基地に配属されるということであり、それらを拠点にして作戦行動に従事するということです。ヘーゲル長官は、一応 「朝鮮の弾道ミサイルの威嚇に対する日本、米国本土の防衛力は飛躍的に強化される」とは述べていますが、イージス艦の追加配備によってどちらがよりメリットがあるのかといえば、アメリカの方であることは中学生でもわかると思います。当然アメリカとしては、ミサイル防衛(MD)構想に日本が所有するイージス艦も組み入れたいと考えているはずであり、それがヘーゲル長官の集団的自衛権の行使容認に向けた日本政府の動きを「支持する」という発言につながっているわけです。

 その一方で、公明党の山口代表は集団的自衛権の行使容認を閣議決定で行うことには批判的な発言をしています。安倍総理にとって連立政権のパートナーである山口代表のこの発言を無視して進めるわけにもいかないところでしょう。また、根強い反対派を懐柔する目的もあるのかもしれませんが、安倍総理は8日のテレビ番組に出演した際に、集団的自衛権を限定して行使を容認すべきだという発言を行いました。
 集団的自衛権の限定的行使容認論を聞いて安心される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、よく考えてみれば、集団的自衛権の行使を限定することを決めたのが閣議であるならば、将来の閣議でそれを覆す決定をすることだってできるはずです。今回集団的自衛権を容認するというのも、要するにアメリカの要求に従うということなのですから、将来アメリカがさらに過大な要求をしてきた場合もそれに屈するということを意味します。「日本を取り戻す」という威勢のいいスローガンをみたことがありますが、実際は「日本を売り渡す」といわれかねない甚だもって情けないのが実情のようです。

(ミサイル防衛網に関する疑問)
 高速で飛行する弾道ミサイルを打ち落とすには高度な技術が必要となることは、わたしのような素人にも容易に想像がつきます。ひとつには、先に発射された弾道ミサイルに追いつくだけの速度が必要ですし、その上で弾道ミサイルに命中させる技術も必要になります。また、飛行する弾道ミサイルの正面から迎撃したのでは失敗する可能性が高くなるでしょうから、できれば斜め後ろから追撃する形で撃ち落とすようにしたいところです。そのためには、迎撃ミサイルを発射する位置が重要になります。実際には、どこへ向かって飛んでいくのか、事前に知ることができない以上、複数の地点で迎撃ミサイルを配置することが必要ですし、その地点が多い方が迎撃する側にとっては有利になるはずです。
 
 アメリカが日本に対しミサイル防衛(MD)構想に参加を要求するというのは、上に書いたような事情があるからだと思われます。そのメリットは主にアメリカにとってのものであり、日本に向けられたミサイルを迎撃できるかといえば、距離が近すぎるだけにその可能性は極めて低いのではないかと思われます。

 ところで、迎撃された弾道ミサイルはどうなるのでしょうか? ミサイル本体は破壊されますが、搭載されている核爆弾は爆破することなく破壊されるものと思われます。その場合、核物質がまき散らされることになるのは避けられません。仮に、弾道ミサイルが迎撃された場所がアメリカ本土上空だったとすると、核物質はアメリカの上空にばらまかれることになります。まあ、それでも核爆発が起こるよりはましということなのかもしれませんが、あまり気持ちのいい話ではありません。また、迎撃に失敗する可能性もあるわけですし・・・

 まとめておくと、
(1)迎撃ミサイルといっても、失敗する可能性も否定できない。
(2)迎撃を成功させるには複数の地点に迎撃ミサイルを配備する必要がある。
(3)ミサイル防衛(MD)網によって日本が安全になるとは断言できない。
(4)迎撃に成功しても核物質がばらまかれるのは避けられない。

 以上のことから、ミサイル防衛(MD)網に参加するのもいいかもしれませんが、それよりも弾道ミサイルを撃たせないようにする方にリソースを割いた方がいいようにわたしには思われます。



 
by t_am | 2014-04-11 06:09 | その他