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カクレ理系のやぶにらみ

tamm.exblog.jp

時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

日本が「いい国」であるという理由(2)

 前回、「日本をそういう『いい国』ではないようにしたい人たちが増えてきている」ということを申し上げました。どういうことかというと、日本を自分の理想の姿にしようと考えている人たちが増えているということを意味します。
 日本を理想の国にしようというのであればそれは結構なことではないか? そう思われるかもしれません。けれども、その「理想の国」には居住資格のようなものがあって、その条件を満たさない人はいられないようになっているのです。

 以下、具体的に観ていきましょう。

(橋下徹市長が「チャレンジ特区」を提案=能力主義・競争主義を全面に打ち出す【争点:アベノミクス】)-The Huffington Post(2013年9月12日付)から
http://www.huffingtonpost.jp/2013/09/12/toru_hashimoto_n_3911018.html

 これは、「御堂筋エリアを対象に、能力主義・競争主義に果敢にチャレンジする高度な能力を持つ内外の人材や、そうした人材を求める企業が集まる条件を整備するため、労働法制の緩和を図る」というものだそうですが、わたしにはこれがなぜ能力主義・競争主義につながるのかさっぱり理解できません。
 現行の法制度の下では、労働時間の上限・解雇制限に該当する労働者の中にはいわゆる管理職は含まれていません。つまり、現行法の下でも管理職には残業制限もなければ解雇制限も存在しないのです。では、現行の労働法が誰を守っているのかといえば、管理職ではない一般労働者になります。ここでいう一般労働者というのは、管理職や経営者の指揮命令の下に働く人のことを指すのであって、そういう人に対し、能力主義や競争主義を適用してどうなるというのでしょうか?
 さらにいえば、現行法制度の下でもやる気があって責任感の強い人は自発的に残業や休日出勤を申告せずに行っています(それがいいことだと言っているのではありません)。この制度の対象者は「一定の年収以上の人」ということですが、そういう人たちは既に自発的な長時間労働に取り組んでいるのですから、わざわざ特区にすることに何か意味があるのだろうか?と不思議に思ってしまいます。
 このように「一定の年収以上の人」という条件が意味をなさない以上、いずれその条件は取り払われることになるのでしょう。最終的には安くて使い捨てできる労働力を供給することが目的になるのではないかと思っています。


(生活保護…自立へシフト 96%世帯で減額)2013年3月5日付読売新聞から
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=73835

 生活保護を受けている人がパチンコに行ったり、酒を飲んだりするのはけしからんという意見があることは事実ですし、また、本人に充分な収入があるにもかかわらず、年老いた親の面倒を見ないために、その親が生活保護を受けているのはおかしいという批判もありました。そういったことも後押ししたためでしょうか、生活保護の減額(3年間で6.5%)が行われることになりました。
 生活保護を貰っている人や障碍者で手当を貰っているの中には、働くよりも手当を貰っている方が楽だという人がいることは事実です。けれども受給者のすべてがそうではありませんし、それよりも受給者数が毎年増えているという事実が何を意味するのかの方を考えるべきでしょう。
 政府や国会議員がその議論に頬被りして、不正受給者や不心得者をクローズアップした挙げ句に支給額を減額するというのは本末転倒といえます。なぜなら、生活保護の受給者が増え続けているというのは、明らかに政策の失敗を意味するからです。

 
(消費税の増税と5兆円規模の経済対策)
 来春から消費税を増税するのかどうか、安倍総理が近々決断するとのことですが、大方の予想は予定通り増税を実施するだろうというものです。
 「財政再建は待ったなし」と言って消費税の増税をごり押ししたのは野田前総理でした。増税により生じる財源は、毎年増加し続ける社会保障費に充てられるということでしたので、それならば増税もやむを得ないと思った人も多いことでしょう。ところがここに来て自民党では、消費税増税が行われた際の景気の腰折れを防止するためと称して5兆円規模の経済対策が必要であるという指摘が登場してきました。これについては、安倍総理自らが法人税の減税の検討を指示したというニュースも伝わってきています。
 せっかく財源を捻出するための増税を実施しようという矢先に法人税の減税を行ったのでは当初の目的がうやむやになってしまいます。経済成長を実現させて景気をよくすれば自然と税収が増えるという考えかたなのかもしれませんが、それならば消費税の増税など不要であるということになってしまいます。
 政府の中には、このような経済対策に反対する意見もあるようですが、当然のことと思います。それでも、既に申し上げた生活保護の削減といい、あるいは介護制度の見直しといい、弱者への支給額を減額する政策ばかりが先行しているのをみると、政府自民党には消費税の増税分を社会保障費に充てるという考えはないのではないか?という疑いを持ってしまいます。

 わずか3つばかりの事例ですが、日本を理想の国にしようという人たちの考える理想とは、「自立自助」と「競争」がキーワードになっていることがわかります。つまり、競争に勝つことができない人や組織・産業、他人に援助して貰わなければならない個人や団体・産業は切り捨てられる方向に向かっていると考えてよいと思うのです。
(この稿続く)

 
by t_am | 2013-09-15 22:43 | その他