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カクレ理系のやぶにらみ

tamm.exblog.jp

時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

アベノミクスに欠けているもの

 世間ではアベノミクスとか3本の矢といっていますが、そこには2つの視点が抜けており、それが解決されない限り成果は上がらないと思います。

 第1には人口減少による市場の縮小をどうやってくい止め、逆に市場を拡大させていくかという視点に立った政策が欠けているということです。市場が縮小すれば総需要もそれだけ減少するので、その分経済が縮小するのは当然の理屈です。安倍政権では市場の縮小を補うために公共事業を増やして需要を創出していますが、その分赤字国債の発行額は増加することになります。いってみれば、前借りした給料を使って生活しているようなものなので、いずれ誰かがそのツケを払わなければなりません。
 総需要を拡大させるには人口を増やすか、購買力を上げるしかありません。しかし人口が増える目処は立っていませんし、購買力を上げるというのは次に申し上げるように見通しは低いといわざるを得ません。そこで、移民を受け入れて人口を増やすという選択肢も考えられますが、移民を受け入れることによるマイナス面も考慮する必要があります。
 さらに、総需要=総売上という視点に立てば、外国への輸出を戦略的に増やしていくという方法もあると思います。菅政権のときから始まり、安倍総理が熱心に取り組んでいる原発の輸出というのも、そういう意味では効果があるかもしれませんが、福島第一原発の事故によって日本の原発技術は必ずしも信頼できるものではないということが明らかになったわけです。そういう商品をセールスすることの危うさを考えるべきだと思います。

 第2の視点は、企業が利益をあげてもなぜ従業員に還元せずに内部留保としてため込むのかということです。その理由は2つあって、ひとつには内部留保を増やさないと、国際基準にに比較してその企業の財務体質は健全でないとみなされ株価が維持できなくなるからです。ふたつめの理由は、いざというときに銀行は融資してくれないということを経営者が知っているからです。その背景には、日本の銀行には融資先の審査能力がないという事実があり、だからこそあれだけの不良債権を抱える羽目になったわけです。相手を見極める能力のない者が金貸しをして失敗しない最良の方法は、金を貸さないことに尽きます。
 これらの事情が変わらない限り、企業は利益を上げても内部留保を増やすために、従業員に利益を還元するということを無視することでしょう。むしろ、利益を確保するために労働分配率を削減した方が株主から評価されるという状況にあるわけですから、その分非正規雇用労働者が増え続けることになるでしょうし、労働法を改悪して、労働者の保護を見直したり撤廃するということもありうるかもしれません。けれども、それらの施策は結果的には購買力を減退させるので、市場はますます縮小していくことになります。
 経営者にしてもそんなことは百も承知かもしれませんが、10年後の業績よりも今年の業績の方がはるかに大事であることはわたしにも理解できます。ゆえに従業員に利益が還元されるということは考えにくいという結論になるのです。

 これらの視点に立った政策が立案され実行されない限り、安倍総理が描く「経済成長によって得られた資金が国内をくまなく循環してみんなが豊かになっていく」というシナリオは絵に描いた餅に終わるでしょう。そうなっては、わたしも困るのですが、実際には破綻に向けた道筋をひた走っているようにわたしには思えます。
 このままだと、安倍総理は後世から「亡国の宰相」と呼ばれることになるかもしれません。
by t_am | 2013-09-15 22:23 | その他