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カクレ理系のやぶにらみ

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時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

自民党の憲法改正案について思うこと

 自民党の憲法改正案は、「公共の福祉」という言葉をすべて「公益及び公の秩序」といういい方に置き換えて、人権よりも「公益及び公の秩序」の方が優先するというものになっています。
 これは統治者にとって都合のいい内容です。たとえば、原発をつくろうとしたときに、建設予定地の地権者が反対して土地を売ろうとしない場合、強制的に土地を収用することもできるようになります。また、戦前にあった讒謗律(官吏や為政者に対する風刺や批判を禁じた法律)のような法律をつくっても憲法違反ではなくなります。
 したがって、自民党の憲法改正案が成立すると、もはや今までの日本とは異なる国になってしまうと理解した方がよいと思います。
 それでそういう統治者にとって都合がいい法体系や制度・組織を持った国がどうなったかについて歴史を振り返ると、悉く滅亡するか国力の低下に苦しんでいることがわかります。滅んだ例としては、ナチスドイツ、旧ソ連、大日本帝国などがあり、専制君主国家もその中に入ります。また、滅んではいないものの、国民が貧窮している国としては北朝鮮が思い浮かびます。では中国はどうなのだ? と言われそうですが、中華人民共和国の場合世襲制の皇帝がいないだけで、事実上は共産党王朝といってもよいと思います。体質的にはこれまでの専制君主国家と変わっていないので、いずれいろいろな矛盾が噴出することになるはずです。もっとも中華人民共和国の場合、できてから日が浅いので衰亡するまでまだ百年単位の時間を要するものと思います。

 戦前の日本がそうであったように、統治者に都合のいい体制を維持するには、どうしても軍と秘密警察(戦前日本の場合は特高警察)を通じた統制を強化しなければなりません。自民党では今のところ秘密警察をつくろうという考えは浮上していないようですが、国防軍をつくることは改正案に明記されているので、その点で、自民党の政策は本能的に正しい選択をしているといえます。
 軍の役割が大きくなればなるほど軍事費が突出して増大につながっていきます。けれども軍隊は基本的には浪費するだけで生産しない組織です。一発数億円もするミサイルも一回撃ってしまえばパーになるわけですから、壮大な無駄遣いであるといえます。さらに、ミサイルをきちんと飛ばすためにも普段からメンテナンスを欠かすことはできませんし、そのための費用も必要ですし、技術者も配置する必要があります。
 植民地主義の時代であれば、戦争に勝てば領土が拡張できるという成果がありましたが、現在の国際情勢では国際紛争に勝利してもせいぜい自国の領土の獲得の維持ができるだけです。仮に尖閣諸島で某国と武力衝突が発生し、それに勝利したとしても日本にとって何かプラスがあるわけではありません。どうせ賠償金も取れないでしょうし。また、某国が勝ったとしても、これまでも尖閣諸島周辺で漁をする漁船はいたわけですし、大陸棚の開発やガス田の試掘も行ってきているわけですから、現状が維持されるだけで何かプラスになるというわけではないのです。お金を湯水のように注ぎ込んだ結果が現状維持でした、というのでは会社の経営者であれば株主総会で厳しく追及されるでしょう。国の場合もトップは退陣に追い込まれるのは確実だと思います。
 このように、軍に資金を注ぎ込んでもいったん戦争が起こればすべてが灰燼に帰してしまうわけであり、そのことが皆わかっているので、日米安保条約を堅持して米軍の傘に入っていた方が利口だと思っているのです。

 仮に、自衛隊が国防軍に昇格したとして、軍が肥大すればそれだけ国力は低下していきます。そうかといって軍を弱体化させれば自分の権力が危うくなるわけなので、軍に依存する体質から抜け出すことはできません。それが行き着くところまで行くと国が滅んでしまうわけです。(敗戦か内戦による国の解体)
 そこに至るまでには、多くの国民の命が失われたり、財産が奪われたりすることは歴史が証明しています。私たちの世代には無縁の出来事かもしれませんが、私たちの子や孫の世代には次第に現実のものになっていくことでしょう。

 その一方で、人権を保護しようとする国では、警察があれば治安維持は可能であり、統治のための軍隊は不要となります。具体例を挙げれば、今の日本がそうであり、世界にも稀な治安の良さを誇っています。また、決して治安が良いとはいえませんが、人権国家の代表的な国であるアメリカ(最近はだいぶ怪しくなってきていますが)は建国から既に二百年が経っており、現存する国の中では古い方の国に属します。

 このように国の寿命という観点からは、人権を保護することで活動を賦活化することが可能になり、大きな視野に立てば、その方が国全体のメリットが大きくなることわかります。逆に人権に制限を加えようとする国は、短期的には統治者にとってのメリットはあるでしょうが、長い目でみれば亡国に向けた舵取りをしていることになると思います。

 悪政を選択するのは現在の国民ですが、そのツケを払うのは未来の子孫たちです。
by t_am | 2013-06-19 11:43 | その他