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カクレ理系のやぶにらみ

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時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

「全ゲノム解析調査」の愚

 8月30日、細野豪志環境相は日、福島第1原発事故の被曝による遺伝子への影響を調べるため、来年度から福島県民を対象に「全ゲノム(遺伝情報)解析調査」に着手する考えを明らかにしました。随分と無駄なことをするものだと思います。
 ゲノムの解析が無駄だと申し上げているのではありません。原発事故と関連づけることが無駄だというのです。

 現在、ヒトのゲノム(遺伝子情報)の「解読」は終わっていますが、それぞれの遺伝子がどのような働きをするのかという「解析」は途中です。したがって、環境省が考えている調査というのは、既に明らかになっている遺伝子情報と比較することを目的としていると思われます。
 生物が持っている遺伝子情報は、その個体のすべての細胞で同一であるはずです。これに対し、放射線の被曝というのは、その個体の一部分の細胞の遺伝子にダメージを与えるということです。つまり、ダメージを受けている遺伝子について調査しなければ意味がないのですが、いったいどうやってそれを見つけ出すのでしょうか。
 仮に、調査のためにとりだした細胞の遺伝子に異常がなかった場合、何がわかるかというと、その遺伝子はダメージを受けていないということが断言できるだけです。他の細胞の遺伝子がダメージを受けているかもしれませんし、受けていないかも知れません。でも、いったいどちらなのかは誰にもわからないのです。
 また、遺伝子のダメージを見つけ出したとしても、そのダメージと原発事故との因果関係を立証することはできません。自然界に存在する放射線でも遺伝子の損傷は起こるからです。
 環境省は福島県のこどもを中心に調べる方針とのことですが、このような調査は住民を不安にさせるだけで、何ら得るところはありません。むしろ税金の無駄遣いにすぎないと思うのですが、消費税の増税を決めておきながら何をしているのかという憤りすら覚えます。環境省という役所は有害無益な組織になりつつあるように思えてなりません。

付記
 「全ゲノム解析調査」について、Twitterでは、人体実験であるという指摘をする人がいるようですが、それは誤りです。なぜかというと、まったく無意味な調査なのですから。
by t_am | 2012-08-31 21:11 | その他