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カクレ理系のやぶにらみ

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時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

4年間の地震発生確率70%というニュースをどう理解するか

 今週、マグニチュード7程度の地震が今後4年以内に発生する確率は70%という東大地震研究所の発表が報道されました。

(東大地震研究所のサイト)
http://outreach.eri.u-tokyo.ac.jp/eqvolc/201103_tohoku/shutoseis/

 過去にこのブログに書いたように、数十年というスパンでの地震の発生確率を発表することについて、何か意味があるのだろうか(そんなに長い期間危機意識を持続できる人間はいません)というのが私の基本的なスタンスです。

(地震発生確率は意味があるのか?)
http://tamm.exblog.jp/10167478/

(災害発生確率と不作為がなぜ起こるのかについて)
http://tamm.exblog.jp/16993281/


 今回の東大地震研究所の発表は今後4年以内という比較的短いスパンでのものですから、人々を不安に陥れるものというよりは、地震に対する対策を速やかにとった方がいいという注意喚起のメッセージとして理解すべきだと思います。事実、東大地震研究所のサイトでも「※ 報道関係の方へ: 関連する内容を掲載の場合は,個々人の取れる地震対策にも触れてください.」という断り書きが掲載されており、同じサイトの後半にはどういう対策をとればいいのかが具体的に記載されていますから、この研究をまとめた酒井慎一准教授の真意もそこにあるのだろうと推測されます。
 東日本大震災の教訓は、事前の備えがあればもっと被害は少なくなっただろうということと、危機意識がなければ備えに結びつかないというものです。地震が起こる確率が70%というのは、起こらない確率が30%あるということにもなりますが、そのように数字で捉えて一喜一憂することにはあまり意味がないと思います。こんなことを書くと怒られるかもしれませんが、30年以内の地震発生確率98%のように数字を細かくするともっともらしくなるということを忘れてはなりません。そもそも地震発生確率は統計によって導かれたものですから必ず誤差がつきまといます。問題はその誤差がどれだけあるのか(コンマ数パーセントなのか、数パーセントなのかあるいは数十パーセントなのか)が誰にもわからないところにあるということは忘れない方がよいと思います。したがって、細かい数字まで書かれているからといって、それが正確であるという保証はだれにもできないのです。
 そのようなことから、今回の発表は、大きな地震が起こる可能性が否定できないので、その備えをしておいた方がいいですよというメッセージであると考えた方がよいということがわかるのです。

付記
 素人に過ぎない私がこういうことを申し上げるのは僭越ですが、地震について冷静に考える材料になればと思うことを以下に書いておきます。

1)マグニチュードと震度の違い
 マグニチュードは地震の規模を示す数値ですが、地震による被害はその場所の震度によって左右されます。マグニチュード7程度というのは相当大きな地震であることに違いはありませんが、その地震がどこで発生するかによって被害の発生状況は異なります。
 マグニチュード7クラスの地震といっても、震源地から距離が離れれば、それだけ震度も小さなものになります。震度5ともなるとかなりのゆれを感じますが目立った被害が発生することはありません。本当に怖いのは震度6を超える激しいゆれに襲われた場合ですが、事前の他対策を講じておくことで被害を軽減することは可能です。
 
(地震から身を守るためのガイドライン)非常に有意義なサイトです
http://www.advertimes.com/20120126/article51667/


2)直接的な被害と間接的な被害
 地震の被害には直接的な被害と間接的な被害があり、それは区別して考えた方がよいと思います。
 直接的な被害(家具が転倒したり窓ガラスが割れる、屋根瓦が落ちてくる、地面が陥没するなど)は、震度6を超えない限り発生することはありません。ただし、その土地の地地盤が悪い場合は震度5以下であっても家屋の被害が発生することもあるので、ご自分が住んでいるところの地盤がどうなのか知っておいた方がよいと思います。一般に、湿地や田んぼを埋め立てた土地は地盤が悪いことが多く、また、地名にその土地が以前どういうところだったかを知る手がかりが残されている場合もあります。
 また、直下型地震の場合(このときはドーンというまるでトラックが衝突したかのような大きな音がします)は、たとえ地盤がよいところであっても縦揺れを伴うことがあり、そうなると震度5以下でも家屋に被害が発生することがあります。逆にいえば、大きな音を伴わない地震は直下型ではないということになりますから、激しいゆれを伴わなければ慌てる必要はないと考えてよいでしょう。

 間接的な被害とは、停電や断水、通信の途絶、鉄道の運行停止、道路の渋滞などをいいます。東日本大震災のときに東京で多くの帰宅難民が発生したように、間接的な被害は震源地から離れていて地震による直接的な被害がない地域でも発生します。
 一般に、地震対策として紹介されているものは直接的な被害に対するものが多いといえます。間接的な被害の対策として思い浮かぶのは水や食糧などの備蓄ですが、それ以外の対策として、たとえば停電が起きたらどうしたらいいか、あるいは電車が止まったらどうしたらいいかなどについて普段から考えをまとめておくとか家族で話し合っておくということが有効だと思います。

 たとえば、水道が断水した場合、水洗トイレは1回使ったらタンクの中が空っぽになりますから、次からは水を流すことができなくなります。(マンションのように貯水槽がある施設では貯水槽に水が残っている間は大丈夫です。)そのため、普段からお風呂の水はなるべく溜めておくように心がけておいた方がよいといえます。

 その際には安易に結論を出してしまわないことがポイントです。比較的簡単に考えつく対策は誰もが思いつくものですから、見方をかえれば皆がそれに殺到するということでもあります。東日本大震災では津波から逃げるために車を使う人が多かったために道路が渋滞し、結果として津波にのみ込まれたというケースが多発しました。このように予想もしなかった事態が起こることによって予定していた対策が不可能になることもあるのです。
 また、電話が通じなくなってもメールやツイッターは使える可能性が高いということが東日本大震災で明らかになりました。
 それでもメールだけが通信手段というのもリスキーですから、家族のツイッターのアカウントを知っておくというのも有効だと思います。(プライバシーの問題もあるので非常時用のアカウントをあらかじめ取得しておき、それを家族にフォローしておいてもらうという方法もあります。)

 三人寄れば文殊の知恵という諺があるように、ひとりで考えるのではなく、家族や親しい友人と話し合うことで効果的な対策を見つけ出すことができるはずです。できればその通りうまくいくのかどうか、実験しておくと完璧だと思います。
by t_am | 2012-01-27 01:13 | その他