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カクレ理系のやぶにらみ

tamm.exblog.jp

時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

あまりに情緒的な対応

 野田政権では、消費税の増税を認めてもらうためには政治家と官僚が身を切らなければ受け入れてもらえないということで議員定数の削減と公務員給与の削減を進めようとしています。増税を嫌がる庶民感情をなだめるために自ら「身を切る覚悟を示す」ということらしいのですが、野田総理がここまで知性の欠落した(もっとはっきりいうとバカな)人だったとは思いませんでした。
 自らの政策の正当性を説くために情理を尽くすというのはわかります。しかし、今回は理がないまま情に訴えようとしているのであり、しかもそれがおかしなことであるという指摘が野党からもマスコミからも、そして識者といわれる人たちからもないのは不思議に思います。このような、感情に訴えるということがまかり通るのであれば日本の未来は絶望的であると申し上げざるを得ません。
 
 私は国会議員の定数削減に反対するものではありません。人数は山ほどいますが、ろくに仕事もしていない議員が多すぎると思っています。それならば議員定数を現在の3分の1から4分の1程度に減らし、その代わり国会議員に支給されている歳費の総額はそのままにしておくべきだと考えています。そうすると1人の国会議員が受け取る歳費は今の3倍から4倍になるわけです。その分スタッフを充実させ議員立法という本来の職務を全うできるようしてもらうというのが議員定数を削減する目的です。
 ⒈年生議員の目標は2年生議員になること。2年生議員の目標は3年生議員になること。ということが国会議員の間ではいわれているそうですが、こういうことが平然とまかり通るほど国会議員は仕事をしていないということでしょう(一部の人を除けば)。
 議員としての仕事をしてもらうために必要な費用を出すけれども、その代わりきちんと仕事をしてもらう。そうでない議員は次の選挙で退場してもらう。また、選挙に金をかけなくても済むようにネットの活用を解禁する。政治改革はこれを避けては通れないと思いますが、そういう考え方をする政治家は皆無であるといってよいでしょう。
 同様に公務員の給与の削減についても、単なるスケープゴートにされていると思います。もっといえば、公務員の給与の決定には何の基準も根拠もないということが暴露されているということです。
 民間企業の経営者であれば、人件費予算を決めるときには労働分配率がどれくらいになるのかを外して考えるわけにいきません。どのような組織であろうとも、人件費として支出できる総額には自ずと限界があるのです。業績がよければ人件費の支出額も増やすことができますが、逆に会社の業績が悪化すれば、経営者は従業員の賞与をカットするなどして人件費の総額を抑えようとします。(それがいいことだと申し上げているのではなく、そういうものなのだということを申し上げているのです。)
 同様に、公務員の給与をどうするかという問題については、財政の状況と相談して決めるというのが当然であり、それ以外の判断材料はないと思うのですが、不思議なことに政治家もマスコミも、官僚自身もそうは考えていないようです。けれども、これがどんなに奇妙なことであるかは、たとえば、どこかの企業の社長が「自社製品の価格を引き上げたいので身を切るために従業員の給料をカットします」と発表すれば物笑いのタネにされるのがオチであることからもわかると思います。なぜなら、消費者にとって製品の価格が妥当かどうか(=その製品を買うかどうか)はその会社の従業員の給与水準とは何の関係もないからです。
 そういえば人事院勧告というのも、民間の給与水準と比較して高いか低いかということが判断の基準になっています。一見説得力のあるような決め方に見えますが、よく考えると根拠になっていないということがわかります。自社の業績を無視して、他社と比較して自分の会社の給料が高いか安いかということで人件費を決めている経営者がいるとすれば、その会社はいずれ倒産してしまうことになります。

 「議員定数を削減します。公務員の給料をカットします。」こういえば、現状に不満を持っている人たちの溜飲はいくらかでも下がるかもしれません。それは人気とりにはなっても問題の解決には結びつきません。我々も身を切る思いをしているのだから消費税を増税させてくださいというのは筋違いです。財政再建策を実施するときの結果(たとえば支出を10%削減するために公務員の給与も10%削減しなければならない)に過ぎないのであり、増税とのバーターの材料にするというのは邪道でしょう。
 政治は論理に基づいて行われるべきであり、感情に訴える政治というのはいい加減やめにしてほしいものです。

 このような行き当たりばったりのことを続けている限り、どれだけ増税しても財政再建などできるはずはありません。総理や財務大臣がこういうことを口にして(それを制止しようとしない財務官僚も)よく恥ずかしくないものだと不思議でなりません。

付記
 去年までは社会保障と税の一体改革のために消費税を増税するのだといっていたと記憶していますが、最近は財政再建のために消費税の増税が待ったなしだなどといわれるようになりました。いったいどっちが本当なのでしょうか?
by t_am | 2012-01-19 22:38 | その他