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カクレ理系のやぶにらみ

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時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

なぜ財政赤字が増えるのか

 日本では国の借金が1千兆円になった(あるいは1千兆円になるだったかもしれません)といわれています。アメリカも同様に財政赤字が減る兆しはありませんし、ユーロ圏でも同様です。そこで今回は、なぜ財政赤字が増え続けるのかについて考えてみました。

 結論を申し上げると、「誰もが経済成長を望んでいるから」ということになります。日本を例にとってみましょう。経済成長(GDPが増えること)が達成されればそのうちの一部が国民に還元されていくので国民生活は豊かになっていく、というのがその根底にあります。(中国の先富論も同じ理屈です。)
 高度経済成長時代やその後のバブル経済の時代であればその通りでしたが、現在は事情が異なります。リーマンショックが起こる前までは戦後最長好景気といわれていました。つまり、それだけ長期間にわたって経済成長が実現していたのですが、生活が豊かになったという実感はどこにもありませんでした。
 その理由は、国際会計基準への対応という理由で企業が利潤を内部留保にまわしたり、生産拠点を海外に移転する原資として活用していたからです。それがけしからんといってもしかたありません。企業とは自己の利益を最大化することを目的としている組織なのですから。

 経済成長を実現するためには、生産を促し、同時に消費を刺激するというのが今日一般に行われている政策です。公共投資がそれにあたりますし、民主党が後生大事にしている子ども手当などもそれにあたります。
 問題は、それらの財源が手当てできなければ赤字国債を発行しなければならないにもかかわらず、効果がさっぱり上がっていないということです。過去に消費を刺激するためにお金を支給するという政策は何度か繰り返されてきました。地域振興券もそうでしたし、子ども手当もそれにあたります。しかし、それらの政策は悉く失敗に終わったといってよいと思います。すなわち、消費に対して補助金を支給しても経済を活性化することはできないからです。
 経済成長とは、拡大再生産とそれを支える消費によって初めて実現するものです。消費を刺激することで経済成長を促すのであれば、消費に対する補助金を毎年支給し続けてしかもそれが年々増え続けなければ経済成長をプラスのスパイラルに導くことはできません。つまり1回こっきりでは効果がないのであって、今年2兆円を投入したのであれば、次年度は2兆2千億円を投入し、その翌年はさらに2兆5千億円を投入するということを無限に続けていかなければなりません。過去に実施された政策はいずれも1回こっきりであり、効果が出そうになったところで打ち切りになっているというのが実情です。
 それでは、無理をしてでも子ども手当を継続させれば経済成長が実現するのかというと、経済成長は可能になるかもしれないが、国民生活はあいかわらず苦しいままにとどまるだろうと思われるのです。なぜかというと、すでに申し上げたように、企業があげた利益は内部留保や生産拠点の海外への移転(海外投資)に用いられてしまうので、それが労働者に還元される可能性は極めて低いといえるからです。

 こうしてみると、経済成長が実現してもその果実が国民に還元されるというのは単なる幻想に過ぎません。にもかかわらず、経済成長を達成するという理由で様々な公共投資や補助金が設定されているというのが今の日本の実情です。
 悪いことに、税収が伸びないものですから、財政再建と経済成長は両立可能であるという理屈のもとに増税が画策されているというのが日本の実情です。復興増税とか税と福祉の一体改革というもっともらしい理由をつけていますが、要するに、経済成長を促すには今まで以上の財源が必要であり、それを確保するために増税が必要であるというだけのことに過ぎません。

 問題は、経済成長が続いたとしても国民生活が豊かになるわけではないというところにあります。そのことはご自分の生活を振り返ってみれば自ずと明らかであるといえるのではありませんか?

 私たちが、豊かになりたいと思って経済成長を望む限り、私たちは今まで以上に貧乏になっていくというのが今の日本(だけでなく世界)の状況です。市場原理や競争原理を導入すれば問題は一気に解決するという政治家がいますが、それは嘘です。そもそも、国を挙げて経済的合理性を追求してきた結果が、正社員になれない人や正社員になっても結婚もできない給料しかもらえない人を増加させてきたのではないですか?

 このような流れを断ち斬るためには、経済成長なんかしなくてもいいというふうに自らの意識を変えることが出発点になるのではないか? そんなことをこの頃考えるようになりました。
by T_am | 2011-12-12 21:36 | その他