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カクレ理系のやぶにらみ

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時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

まだまだ高い日本の電子書籍

 「スティーブ・ジョブズ」の電子書籍版が早々と発売されました。上下巻で各1900円というのは本の定価は1995円とほとんど変わりありません。「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(ダイヤモンド社)の単行本は1680円ですが、iPhone版の電子書籍は800円で販売されていますからべらぼうに高い金額であるといってよいでしょう。)

 ユーザーとして意見を述べさせていただけば、電子書籍は流通コストもかからなければ返本のリスクも考えなくて済むのですから、本と大差ない価格設定はおかしいと思います。さらに、電子書籍はブックオフなどのリサイクル店に持ち込むこともできません。したがって、電子書籍というのは、出版社や著者にとっては決して不利な供給ルートではないはずです。

 Amazonではベストセラーでも10ドル(感覚的に1ドル=100円といってよいと思います)以下で電子書籍を購入することができます。別にAmazonがよくて、日本の出版社が駄目だというつもりはありません。せっかくAmazonという電子書籍の成功モデルがあるのに日本の出版社は何をもたもたしているのだろうか、ぐずぐずしてるとAmazonが日本に進出してくるぞ、と思っているのです。(これも見方によっては、日本の出版社が駄目だと言っているに等しいですね。)
 Amazonのパワーがどれほど強力かというと、「スティーブ・ジョブズ」の電子書籍版の価格が11ドル99セント(日本の約4分の1)であることからもおわかりいただけると思います。(ちなみに上下巻で打っているのは日本だけだそうです。)これでは電子書籍を購入した方がずっと得だということになります。

 本も音楽も、その本質は情報です。CDや本はその器に過ぎません。情報である限り、デジタル化は可能ですからインターネットを活用して流通させた方がコストを抑えることができますし、何よりも在庫という厄介な問題を抱えることもありません。したがって、情報を販売する産業は、その流通ルートがインターネットに移行していくというのが時代の流れであり(ただし、CDや本が消えてなくなるとは思いません)、既存の流通経路にしがみついている企業はいずれ衰退していく運命にあるのだろうと思います。それよりは、新しい流通経路を開拓した方がいいのではないかと思うのですが、なぜか大同団結できないのが日本の企業なのですね。

付記
 電子書籍の拡大は書店経営を圧迫するという指摘は正しいと思います。日本から書店がなくなってもいいのかといわれると返す言葉もないのですが、時代の変化の中で消えていきつつある業態はいくらでもあります。(酒屋、金物屋、八百屋、肉屋、魚屋、豆腐屋等々。)けれどもこれらの業態が消えてなくなったわけではありません。数は減っても元気で商売を続けている店はあるのです。大事なのは業界が存続することではなく、個々の商店が存続することです。電子書籍が伸びても、紙の本に対する需要がなくなるわけではありません。その需要を上手に拾い集める賢い商店は、時代が変わっても残るといってもよいと思うのです。
by T_am | 2011-11-16 21:40 | その他