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カクレ理系のやぶにらみ

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時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

細野豪志原発事故担当大臣の不思議な発言

 9月4日のNHKニュースで細野豪志原発事故担当大臣(長いので、以下「細野原発相」と書きます)の発言が紹介されていました。
 要約すると、放射性廃棄物(除染によって発生した大量の土壌を含む)を一時的に管理する中間貯蔵施設を福島県に設置しなければならないが、それを最終処分場にしないようにどういうやり方があるかを検討したいというものです。
 (福島県以外に設ける予定の)最終処分場へ放射性廃棄物を運ぶためには、減量化と放射線のレベルを下げることが必要なので、それぞれどういうやり方・技術があるかを考えなければならないのだそうです。
 せっかくのお言葉ですが、よくいえば気休め、悪くいえばごまかしであるとしか私には思えません。さらにこの人は、福島県以外で見つかっている放射能に汚染されている汚泥は各自治体で貯蔵するということになっていることについて、福島の痛みを全国で分かち合うべきだとも発言していますが、こういう情緒に訴えるようないい方は問題をすり替えるだけであり、担当大臣としての責任感のなさを感じます。

 放射能に汚染された廃棄物を減量化するには、放射性物質を分離する以外にありません。たとえば、廃棄物に付着した放射性物質を水で洗い流し、その汚染水に含まれる放射性物質を吸着するというものです。これを行う施設の規模と必要資金は膨大なものになる(それだけ巨大な利権に結びつく)ことが予想されますが、そうしない限りせっかく除染しても汚染された廃棄物をいつまでも同じ場所に仮置きしなければならないことになります。
 
 今後しなければならないことは、放射能に汚染された物質(除染によって発生した土壌や放射性物質を含んだ汚泥も含む)から放射性物質を分離するための処分場をつくることであって、「中間貯蔵」施設を設けることではありません。さらにいえば、「最終処分」というのは、そうやって分離された放射性物質を、それが無害になるまで貯蔵しておくことをいいます。放射性物質が無害になるまでに要する時間というのは、一応の目安としてその物質の半減期のおよそ10倍の期間を想定しなければなりません。(半減期のおよそ7倍の期間で放射能は100分の1になり、10倍で1000分の1になるからです。)放射性セシウムの半減期はおよそ30年ですから、300年間は貯蔵しておく必要があるわけです。
 その間、保存容器から漏れ出すことがあってはなりませんし、万一漏れ出したとしても環境を汚染することは許されません。そういう施設が日本に存在するかというと、まだないというのが実情です。
 事故が起こらなくとも原発を動かし続ける限り放射能のゴミは発生します。ところが、そのゴミの処分場がないまま原発を稼働させているというのが日本の姿です。

 細野豪志氏は原発事故担当大臣であり同時に環境大臣でもあるのですから、放射能のゴミをどうやって処分するのかについて一元的に管轄する立場にあるといえます。歴代の政権の中で今まで誰も取り組んで来なかったこの問題に取り組んでいただきたいと思うのですが、「痛みを分かち合うべきだ」などと頓珍漢で無責任な発言をしているくらいですから、あまり期待しない方がいいのかもしれません。(担当大臣として責任感がある人ならば「これ以上痛みを増やさない、広げない」という考え方をするのが普通だと私は思います。)

付記
 「放射能のレベルを下げる」とはどういうことなのか、私には理解できません。除染という作業は「放射性物質を移動させる」というだけのことであり、放射能のレベルを下げることではありません。これは放射能に汚染された水の浄化についても同じです。
 放射性物質は原子核が崩壊して安定した元素に変わることによって初めて放射能が消滅します。したがってある程度の時間が経過しないと放射能のレベルは低下しない(半減期が経過すると半分になる)のです。細野大臣の発言は、人為的にこれを変化させることが可能であるかのように受け取れます。本当にそれが実現するのであればぜひやっていただきたいものだと思います。
by T_am | 2011-09-07 23:58 | その他