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カクレ理系のやぶにらみ

tamm.exblog.jp

時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

あまり指摘されない不思議なこと

 本日の民主党両院議員総会で、野田佳彦氏が代表に選出されました。任期途中で辞任した管直人代表の後任ということになるので、その任期は来年9月までとなります。
 せっかく新しい総理が誕生するのですから、今度こそ実績をあげてほしいと思うのですが、あまり期待できそうもないというのが正直なところです。というのも、今度の総理も政治力学によって誕生した総理なので、どうしても政治力学に足を引っ張られることになるからです。
 「ノーサイドにしましょう。もう・・・」と、民主党の議員たちに呼びかけた野田代表ですが、そうはいかないようです。輿石参院会長が「役員人事を見れば挙党体制かどうかわかる。」と発言しましたし、小沢グループは「今後の閣僚人事をみて協力するかどうか決める」といってるようですから、野田総理も前途多難だといえます。(決選投票になった場合は支持してもらうという約束を前原グループとの間で取り付けた。)
 
 この国で、政策論争によって首相が誕生しないのは議院内閣制がその理由です。衆議院の首相指名投票で最大得票数を得た候補者が総理大臣になるわけですから、総理を目指す人は、政策よりも、いかに自分を支持してくれる人を増やすかということの方に関心が向かいます。当然協力する側も、支持する見返りを求めるということになり、政策がおろそかにされることになります。

 この国では、政治力学によって総理が決まるということをずっと繰り返してきました。したがって政策よりも政局が優先するという状態が当たり前のようになり、有権者がそのことに嫌気がさした結果、自民党が政権を失うことになったのです。政権交代後の選挙で民主党が惨敗を繰り返しているのは、マニフェストが絵に描いた餅であったこともさることながら、政治力学によってすべてが決まるという実態は自民党と何ら変わりはないことが暴露されたからです。民主党の実力者たちはそのことに気づいていないので、党の凋落はこれからも続くはずです。
 若手の議員のなかには、政策の方が大事ではないかと考える人もいるようですが、残念ながら現在の制度が続く限りは何も変わらないといえます。


 大阪市立大学の増田聡准教授(音楽学・メディア論)のツイッター(8月27日付)
 オレあと25年くらいは大学教員やるつもりだけど、四半世紀スパンの長期的な視野で「こんな大学になった方がいいよな。なので今はこうしたら」と言っても誰も聞いてくれない。他方であと5年くらいで今の立場から退くような偉い人たちは、2年後に目に見える成果が出るような「改革」にとても熱心だ

 非常にスルドイ指摘ですよね。「大学」を「政党」と置き換えてもそのまま通用すると思います。
 今回の民主党代表選の5人の候補者たちもビジョンを示すことはありませんでした。ビジョンというのは、増田准教授がいうように「こんな国になったらいいよね」というものです。ところが候補者たちが掲げたのは経済成長であり、それはすなわち「今の日本のままでよい」ということになります。
 児童虐待やセクハラ、パワハラといった弱い者いじめが横行し、新卒の就職率低下に歯止めがかかりません。また生活保護の受給者も増える一方でありながら、お盆休みを海外で過ごす人により成田空港の利用者が過去最高になったといういびつな状況にこの国は面しています。そしてこれは他の先進国でも似たような状況であり、日本が特別というわけではないのです。(したがって、前原候補が落選したのは本当によかったと思います。)

 日本が今まで目指してきたことは間違っていないという認識でいる限り、現行の制度を変えようという発想は生まれません。
 そこで、疑問に思っていることを2つ申し上げることにします。

1)地方議会も含めて、なぜ国会は平日の昼間に審議を行うのか?
 テレビやラジオで国会中継があるとはいえ、これでは勤め人が国会での議論の様子を見ることはできません。7月27日の衆議院厚生労働委員会での児玉教授による意見陳述にしても、YouTubeにその動画がアップされていたから皆の知るところとなったわけです。(国会審議のテレビ中継の動画は衆議院TVのビデオライブラリでも見ることができます。)
 政治への無関心を嘆くのであれば、市民が傍聴できる時間帯に審議を行うべきではないのかと思いますが、どう思いますか?

2)自民党はもとより民主党も国民から見放されつつあるなかで、相変わらず政党交付金制度が維持されているのはなぜなのか?
 政策は議員の使命感によって生まれるのですから、議員は本来独立不羈でなければなりません。そのためには、議員としての活動を保証するために議員歳費(政務調査費など)を充分に支払う必要があります。政党交付金を支払うのであれば、その分を議員個人に支払った方が、親分子分の関係もなくなるので政治力学も作用しづらくなります。実際に、議員有志による勉強会が活発に行われているのですから、政党が政策立案という面で機能しているとは思えません。どうしても政党を維持したければ自費でやれと申し上げたい。また、政党交付金を億単位でもらうだけもらっておいて、政党を解散させても返さなくてもいいというのもおかしいと思います。

 今度総理になる予定の野田代表も、今まで日本が取り組んで来たことに疑いを持たない人のようです。だから、私がここにあげたことについて関心を持つことなどないでしょう。それは構わないのですが、正直申し上げると、そういう人が一生懸命頑張れば頑張るほど、この国はいっそういびつなものになっていくと思っています。だから、野田総理にはあんまり頑張らないでいただきたい。
 もしも、任期途中で辛くなったらいつでも辞めてもらっていいのですよ。むしろその方がよほどお国のためになると思っています。
by T_am | 2011-08-29 23:17 | その他