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カクレ理系のやぶにらみ

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時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

こんな役所なんかいらない(3)

 九州電力の「やらせ」事件は、他の電力会社でも過去に同様のことが行われていたことを明らかにしました。ところが、それだけでは収まらずに、今度は原子力安全・保安院(名前が長ったらしいので以下単純に「保安院」と書きます)が中部電力に対し、プルサーマル計画を巡る2007年に行われた政府主催のシンポジウムに社員を動員するよう指示をしていたという事実が暴露されました。この事実を公表したのは中部電力なのですが、あえて監督官庁の暗部を暴露したのには何かしら理由があるのではないかと思います。そういうことをすれば、後で意趣返しをされるのはわかりきっていますから、普通であればそういうことは黙っているはずです。にもかかわらず、こういう「告発」を行ったというのは、浜岡原発の「停止要請」を行った政府に対する牽制という意味があるのかもしれない、そんなことを思っています。

 原子力というのは危険な技術ですから、それが安全に運用されるよう監視する組織として原子力安全委員会がありました。ところが、2001年3月に経済産業省の下部組織として保安院が新設され、電力会社に対する許認可権限を持つことになったのです。
 既に多くの方が指摘されているように、経済産業省というのは原発を推進する立場の役所です。その下部に電力会社を監視する組織を設けた理由としては、経産省の電力会社に対する発言力を強化する狙いがあったものと推察されます。
 ところが、保安院の職務は本来原発の運用にブレーキをかけるというものですから、これは上部組織である経産省の姿勢と矛盾します。ゆえに、保安院で自分の職務に忠実であろうとする職員がいたら、その人はどういう目に遭うか容易に想像することができます。
 結果として、保安院という組織は経産省の意向に沿うように電力会社に圧力をかける装置に成り果ててしまっています。その一端が中部電力に対する社員の動員指示という出来事に現れていると思います。

 保安院が設けられたことによって、原子力安全委員会は仕事が横取りされたような状態になり、精彩を欠くようになってしまいました。文科省がこどもの被曝量の上限として年間20ミリシーベルトという基準を打ち出したときに、原子力安全委員会が隠れ蓑のように使われましたから、政府・官僚が責任を押しつけるための存在に成り果てているようにもみえます。

 保安院といい、原子力安全委員会といい、そんなところで仕事をしていても面白くないことでしょうね。真面目で誠実な職員の方には本当にお気の毒だと思います。もっとも、自分の出世のための1ステップと割り切っていれば別ですが・・・
 ただし、そういう人は非常時には役に立たないのですから、それではそもそもそんな組織を存続させておく意味があるのかということになります。

 保安院による「やらせ」が過去にあったということで、保安院を解体せよという圧力はさらに高まるものと思いますし、福島原発の事故収束に一定の区切りがついた時点で、この組織にメスを入れることになるものと思われます。それが菅内閣の仕事になるのかその次の内閣の仕事になるのかはわかりません。けれども、その際に、保安院を解体する理由として、「やらせ」とうやってはいけないことをしたから解体するのか、それとも原子力の安全性を担保するためにやらなければいけないことをやっていなかったから解体するのか、その認識によっては、次にできあがる組織がまるで違ったものになるように懸念されるのです。
by T_am | 2011-07-30 09:40 | その他