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カクレ理系のやぶにらみ

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時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

バックアップ

 福島第一原発1号機の汚染水処理システムが相次ぐトラブルに見舞われています。本格稼働すれば汚染水の処理能力は1日に2千トンといわれていたのですが、その本格稼働が危ぶまれているようです。

 私が不思議に思ったのは、汚染水処理システムにはバックアップが備わっていないのだろうか、ということです。

 福島第一原発の原子炉が現在どのような状態になっているかというと、高温によって溶け出した核燃料が圧力容器の底に溜まっているものと考えられます(メルトダウン)。核燃料が水に直にさらされると、その一部は流れ出していき、水を汚染することになります。 ところが、冷却システムが動かないのですから、核燃料の崩壊熱を奪うために注水を続けなければなりません。そうすると、放射性物質に汚染された水が次々につくられることになります。
 汚染水処理システムを設置したのは、放射物質に汚染された水をこれ以上増やさないということが目的のはずですが、圧力容器の中に露出した核燃料が存在する限り、汚染水処理システムを動かし続けなければならないことになります。したがって、汚染水処理システムがそう簡単に止まってもらっては困るのです。

 NHKテレビの解説では、この汚染水処理システムというのは大きく分けると4つの装置から成り立っているとのことです。それぞれの装置とは、油分離装置・セシウム吸着装置・除染装置・淡水化装置であり、放射性物質に汚染された水はこれらの装置を順番に通ることによって放射性物質の濃度が低減される仕組みとなっているようです。
 疑問に思うのは、これらの装置が直列に接続されている以上、どれか1カ所でトラブルが発生すればシステム全体が止まることは避けられないというにもかかわらず、なぜバックアップを設けなかったのか? ということです。それぞれの装置を2台並列に並べ、1台を予備としておけば、もう1台がトラブルに見舞われたときに予備機に汚染水を流す(バックアップ)ことによって、システム全体が止まることは避けられるはずです。
 これらの装置を映像でみると非常に複雑な形をしており、それだけ脆弱なのではないかと心配になります。なにしろ処理しなければならない水の量が桁違いに大きいのですから、今後もトラブルやメンテナンスに追われるであろうということは、私のような素人にも容易に想像がつきます。そのたびに、システムを止めるというのであれば、汚染水の処理は遅々として進まないことが予想されます。

 東電と許可権者である政府、原子力・保安院がシステムのバックアップの必要性に気づかなかったのであれば、それは関係者が全員無能であるか、どうせ一時的なシステムなのだとタカをくくっていたかのどちらかであろうと思います。ゆえに、まことにお気の毒とは思いますが、いっそ辞表を提出されてはいかがかと愚考する次第です。
 強力な権限は責任を果たすために与えられています。にもかかわらず、責任を果たすことができないのであれば、できる人に替わるというのが当たり前でしょう。バッターを打ち取れないピッチャー、守れない野手、打たない打者がいれば、監督は選手交代を命じますし、私たちもそれが当たり前だと思っています。プロ野球の試合ではしょっちゅう行われていることが、なぜ政治やビジネスの社会ではできないのでしょうか?


付記
 政府、東電の担当者・責任者はやるべきことはちゃんとやっているというのであれば、本稿に書いたことを取り消さなければなりません。その代わり、原子力というのは人類の手に負えない代物であるという認識を再確認することになるでしょう。
 海江田大臣が全国の原子炉の安全性が確認できたので、停止中の原子炉を再稼働させたいといっていますが、原子力が人間の手に負えない存在である以上、それがどこまで信用できるのか疑問に思います。
by T_am | 2011-06-20 23:18 | その他