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カクレ理系のやぶにらみ

tamm.exblog.jp

時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

自分だったらどうするか

 環境NGO「グリーンピース」が福島市内で行った放射線量調査の結果を朝日新聞が報道しています。

「福島市の保育園や公園で高放射線量 グリーンピース調査」
http://www.asahi.com/national/update/0609/TKY201106090519.html


(グリーンピースが記者会見で使用した資料)
http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/20110609%20Presentation_final.pdf


 グリーンピースも公式サイトで次のように発表しています。
「子どもや妊婦は、避難を――クミ・ナイドゥ」
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/blog/35220


「2011/6/9 日本政府に、子どもや妊婦の早急な避難を訴え ――グリーンピース・インターナショナル事務局長らが福島市を訪問」
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/pr20110609/


 この発表を要約すると、福島市内には決して無視できるレベルの放射性物質が検出されたところがあるということです。ただし、福島市といっても広いので、市内すべての地域が危険であるとは断定できません。グリーンピースの調査は局地的限定的なものです。
 本来ならば、こうした調査は日本の政府・自治体が率先してやらなければなりません。手が足りないというのであれば、グリーンピースのような環境NGOと連携して調査を行うとことも選択肢の一つとして検討すべきです。ところが、実際にはそうではなく、有志の個人が測定した放射線量をWebに公開していたり、グリーンピースのような組織が調査して公表したデータしかないというの実情です。自分がやるべきことを他人が代わりにやっている。行政に携わる人はこれを恥だと思わないのでしょうか?

 グリーンピースのクミ・ナイドゥ事務局長は、、「除染作業は必要なことですが、残念ながら現状では不十分だと言わざるをえません。子どもたちの通学路・通園路のすぐそばでもホットスポットが見つかりました。国も県も、放射線のリスクをきちんと説明していないため、マスクもつけずに遊んでいる子どもたちもいます」と述べて、子どもや妊婦を避難させるよう訴えたとのことです。
 もっともなことだと思います。というのも、クミ・ナイドゥ事務局長は福島に住んでいるわけではないのですから。
 
 福島第一原発の事故からやがて3ヶ月が経とう賭している現在、検出される放射性物質は半減期が長いセシウムやストロンチウムが大半であろうと推測されます。これらの物質の半減期はおよそ30年ですから、何もしなければこれらの「ホットスポット」では現在の放射線量が今後30年間は衰えない可能性が非常に高いということがわかります。

 仮に、自分が福島市内に住んでいたとして、何をするだろうかということを考えてみました。考えられる選択肢は4つあります。

1)政府・自治体が除染してくれるのを待つ。
 これは、いつになるかわからないという欠点があります。また、既に除染しているのだからもう必要ないといわれる可能性も否定できません。

2)何もしない。
 これには2通りあって、「知っていて何もしない」というのと「知らないので何もしない」とがあります。ほとんどの人が「知らないので何もしていない」というのが実態でしょう。

3)妻や子どもを県外(あるいは会津地方など)に避難・疎開させる。
 たぶん一番確実な方法だと思います。その代わり、最悪の場合、30年間は帰って来ることができなくなる可能性も否定できません。そう思うと、なかなか踏み切れないでいる人も多いのではないかと思います。

4)学校や保育園に申し出て除染作業を手伝う。
 自分が福島市に住んでいて、政府や自治体が頼りにならないと思ったら、おそらくこうするだろうと思います。マスクや長袖に身を包んで防備しても、もしかしたら放射性物質を吸い込んだり、飲み込んだりして内部被曝するのではないかという心配があることも事実です。そう考えると誰か他の人がやってくれないものかとも思いますが、結局のところ自分たちがやらなければ誰もやってくれないということに思い当たります。ボランティアで来てくれる人もいるかもしれませんが、アテにすることはできないのではないでしょうか?
 自分の子どもが学校や保育園に通っていて、そこに危険な「ホットスポット」があることがわかったならば、なんとかしようと思うのは普通のことではないかと思います。他人がしてくれないのであれば親が自分でしなければなりません。自分と家族が住む町なのですから。自分たちでなんとかするというのは当然ではないかと、(自分がそこに住んでいるならば)考えます。もしも、それが嫌なら、安全な地域へ子どもを疎開させる以外ありません。
 だから、このことは町内のどぶ掃除をしたり、ゴミステーションの掃除を当番制で行うということと同じ次元の問題であるといえます。むしろ、そういう意識の高まりが、自分たちの住む町を住みやすいものにしていくのだと思います。

 実をいうと、ここで一つ厄介な問題があります。それは、除染した土や雑巾などの道具をどこに捨てるのかという問題です。本当ならば、福島原発から出された放射性物質なのですから、福島第一原発の敷地内に運び込むというのが正しいのですが、現在の体制ではそれは不可能です。校庭で除染のためにはぎ取った土を校庭の片隅に山積みしたり、上下置換方式というやりかたで、地中深いところに埋めてしまうというのはそのためです。しかし、それではせっかく除染しても効果が限られてしまいます。(雑巾を燃えるゴミといっしょに焼却処分したとしても、放射性物質が燃え尽きるわけではありません。不完全な施設では空気中に放射性物質を飛散させることになります。そういう危険性が低い焼却場でも放射性物質を含んだ焼却灰をどのように最終処分したものか妙案があるわけではありません。(原発から定期的に出される放射性廃棄物でさえも最終保管場所はまだ決まっていないのですから。)
 こうしてみると、やはり福島原発に運んで、そこに積み上げておくというのが最も現実的な案ではないかと思われます。津波対策のための防潮堤をつくるというそうですから、その土台に使ったらどうでしょうか? また、他の原発でも防潮堤をつくる動きがあるようですから、そちらに運んで活用するということもできるのではないかと思います。
 そういうことを実現させるためにも、ここは市会議員・県会議員の出番です。有権者が大勢で押しかければ無視することはできなくなるはずです。

 民主主義というのは、個人が何もいわず何も行動しないまま、政府がなにかしてくれるのをひたすら待つという社会では何年経っても実現しないと、最近思うようになりました。そういう社会だからこそ、政治家たちが国民を無視して党利党略・政局に明け暮れるのですし、官僚たちが保身に走るのでしょう。
 政府や政治家を批判するのはたやすいことですが、有権者が何もしないうちは彼らも真剣に耳を傾けようとはしないはずです。むしろ、有権者である自分たちが行動することによって、その発言が初めて凄みを帯びてくるのだと思います。そのことが民主主義の根幹になるのではないか、そんなことを考えてしまいました。
by T_am | 2011-06-10 22:12 | その他