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カクレ理系のやぶにらみ

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時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

防潮堤と都市計画

 今週、石巻市と相馬市に行ってきました。それでわかったことですが、高架道路が防波堤の役割を果たしたということです。
 相馬市街地は海に近いところにありながら、今回の津波による被害はありませんでした。というのも、海岸と市街地との間に国道6号線バイパスが高架道路で通っているからです。相馬市を襲った津波も、この道路のおかげでそれ以上奥へ進むことはありませんでした。バイパスが開通した当初は車の流れが変わってしまい、市街地を通る車がめっきり減ってしまったと旧国道沿線の商業店舗からは怨嗟の声も上がっていたそうですが、この地震による津波を防いでくれたということで地元の人は喜んでいました。その代わり、バイパスの海側に住んでいた人たちは被害を免れることはできませんでした。
 これは仙台市周辺も同様です。
 仙台市とその周辺の市町村では海岸に平行して三陸自動車道と仙台東部道路が通っており、この道路を走ると、海側には津波によって流れた来た瓦礫が散乱している様子がみられるのに比べ、内陸側はまったく被害がない(ただし津波による被害。地震による被害はありました)という光景を見ることができます。
 私の知人も仙台東部道路の山側に家があったおかげで、津波による被害を免れたそうです。

 高架道路が津波の進行を食い止めたという事実は、復興にあたっての都市計画にヒントを与えてくれるのではないかと思います。すなわち、海岸からある程度の距離をおいて高架道路をつくり、その間は公園などの緩衝地帯とし、住宅などは高架道路の内側に建築するというものです。
 ただし、このプランは海岸線がなだらかに延びているところに有効なものであり、三陸海岸のように湾が入り組んでいるところでは、その分だけ津波も高くなるわけですから、違う方法を考えなければなりません。高台を切り開いて住宅地にするという案もあるようですが、その造成工事は費用がかかるうえに、かなりの時間がかかります。それならば、海沿いの平坦なところに手っ取り早くプレハブを建てて住処とするという人も現れているようです。それはそれで仕方のないことだと思いますが、いつになるかわかりませんが、将来津波が襲ってきたときのために、避難経路となる道路の幅員は余裕をもってつくっておく必要があると思います。これは地元の人に聞いた話しですが、津波に呑まれた人は車で避難しようとしていた人が多く、車を捨てて徒歩で逃げた人の方がかえって助かったということです。大勢の人が車で避難しようとすれば道路が渋滞するのは当然です。また、海岸と平行に走ったのでは意味がありませんから、内陸部の方向に避難する道路を整備しておくことが重要となります。
 さらに、今回津波がどこまで来たかを確認しておく作業は重要です。それに基づいてハザードマップを新たにつくり、役場や学校、公民館などの公共施設(これらはいざというときの避難所となる)の立地選定の材料とすべきでしょう。また、どこまで逃げれば安全であるかというシミュレーションも、このハザードマップが役に立ちます。

 これだけ広範囲に大規模な災害が起きたのですから、本格的な復興には時間がかかることはやむを得ません。そのときに、将来同じような津波が襲ってきたとしても被害を最小限に抑えるような復興プランをつくるのか、手っ取り早く復興できるというプランをつくるのかは、そこに住む人たちが決めることです。
 三陸地方の場合、過去に明治三陸津波(1896年)やチリ津波(1960年)が襲ってきたことを考えると、50~60年という間隔で津波による被害を受けていることがわかります。この間隔が長いと思うのかそれとも短いと思うのかは人によって異なるでしょうが、人の一生の間に一度は起こりうるということを考えると、もうこれで当分津波は来ないだろうとあまり楽観的に考えるのはどうかと思います。

 高架道路を兼ねた防潮堤や高台を切り崩す造成と津波によって発生した損害額を比較するとどちらが安くつくかということはすぐわかると思います。何よりも人の命はお金に換算することができないので、こういう比較をすることは不謹慎であると思うのですが、復興は人が戻ってこなければできません。そのためには、安心して住むことができるという都市計画をつくることができるかどうかにかかっていると思います。
by T_am | 2011-04-15 00:18 | その他