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カクレ理系のやぶにらみ

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時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

地震で思ったこと(1)

 この時期にこういうことを申しあげでもしかたないのではないかという気がしますが、忘れないためにも書いておくことにします。

 3月12日の日本経済新聞のサイトに、「流される家、列車『数分遅かったら・・・』 福島・新地町」という記事が掲載されました。津波に襲われた福島県新地町の被災者に、避難したときの様子を聞き取り、記事にしたものです。
 この中で、被災者の言葉が次のとおり紹介されています。

 「逃げ遅れた人との差はほんの2、3分だった。どうしてこんなことになるのか」。
 「津波注意報や警報が発令されても、いつも大したことがないので見くびっていた。これほどの波に襲われるとは想像もしなかった」

 ほとんどの人が津波注意報や警報を見くびっているのではないでしょうか。私もその一人です。地震が起きた前日の3月10日午前6時28分にも津波注意報が発表されていました。朝のNHKニュースで注意を呼びかけていましたからご存知の方も多いことと思います。これは6時24分頃三陸沖(北緯38.2度、東経143.0度、牡鹿半島の東13
0km付近)で起きた地震に基づくものです。気象庁の津波警報・注意報のサイトをみると、「高いところで0.5m程度の津波が予想されますので、注意してください」と記載されていました。
 そして、3月11日15時14分大津波警報が発表されました。15時31分の津波情報では青森から千葉の太平洋沿岸地域では「津波到達を確認」か「既に津波到達と推測」となっています。地震発生から30分くらいまでの間に津波が押し寄せてきたことがわかります。震源地がどこなのかにもよりますが、地震発生から10分間の行動が明暗を分けたといえるのではないでしょうか。

 現代はメディアの発達による情報過剰の時代であるといってよいと思います。玉石混淆ともいうべき情報が氾濫している中で、振り込め詐欺のようにうっかり信じ込んでしまうと被害に遭うというものもあります。今回の地震に関しての政府発表をみていると、肝心なことがよくわからないというものが多く、また、ツイッターの投稿の中にはデマも混じっています。つまり、それぞれが情報を取捨選択して判断をくださなければならないようになっているわけです。
 しかし、それでは今回のような大災害による被害者は浮かばれません。地震発生からわずか30分くらいの間に未曾有の大津波が押し寄せたのですから、その間自分で情報を集めるという余裕などあるはずがありません。やはり行政が警報を発し、避難を呼びかけるということをしないと被害を抑えることはできません。
 今回の津波では、避難できた人もいれば取り残された人もいますし、また多くの人が逃げ遅れた模様です。これは推測ですが、逃げ遅れた人の中には津波にたいし高をくくっていた人もいたのではないかと思います。というのも私自身そうですので、自分があの場所にいたらたぶん逃げ遅れていた人たちの中に入っていたはずだからです。それは私自身の不明と津波警報に対する反応が鈍くなっていることに由来します。

 オオカミ少年という言葉があります。「オオカミが来るぞ!」と騒いでは町の人が狼狽えるのをみて面白がっていたこどもが、実際にオオカミが来たときに「オオカミが来たぞ!」と叫んでも誰も本気にしなかったために、喰い殺されてしまったというものです。

 そういうことを考えると、現在の警報・注意報の伝え方は住民の感度を低下させているのではないかという気がします。警報や注意報が発表されてもたいしたことは起こらない。そういうことが続けばしだいに警報や注意報を見くびるようになっていきます。
 このことは緊急地震速報についてもいえることです。私は新潟市に住んでいますが、3月12日の朝にかけて携帯電話のエリアメール(緊急地震速報)が5回ありました。いずれも長野県北部で起きた地震によるものですが、新潟市ではそれほど強い揺れはありませんでした。
 エリアメールというのは携帯をマナーモードにしていても強制的に警報音を発するようになっています(エリアメールに未対応の機種もあります)。昨年9月に初めてエリアメールを受信したときには何事かと驚いたのですが、そのときもたいした揺れは感じませんでした。
 せっかくこのような仕組みがあるにもかかわらず、今のような運用(たぶん県単位での発令)を続けていたのでは誰も信用しなくなると思います。そして、本当に危険が迫ってきたときに為す術もなかったということになりかねません。
 日本は地震大国なのですから、この分野にかける研究費をもっと充実させるべきでしょう。地震が発生したら、その規模と震源の位置に応じて警報を発しなければならない地域が決まってくるはずですが、今のしくみはそうではない地域に住む人にまで警報を発するようになっています。
 地震に関してはまだよくわからないことが多いのは承知しています。しかし、もっと精度を高めて、危険度に応じて対応に強弱をつけるということをしていかないと当局の責任逃れの道具に成り果てるおそれがあると思います。マスコミについても同じことがいると思います。津波警報が発表されたときのテレビ局・ラジオ局のアナウンサーの対応をみているとマニュアルが一種類しかないだろうと思います。いつも同じ言葉を繰り返しているのですから。
by T_am | 2011-03-13 08:54 | その他