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カクレ理系のやぶにらみ

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時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

ニュースが伝えないこと(福島県西会津町の300台立ち往生はなぜ起こったか)

 12月26日の夜のニュースで、福島県西会津町の国道49号線でスリップした大型車が道を塞ぎ、後続の車がおよそ300台立ち往生しているという報道が行われました。27日の朝刊にはもう少し詳しい内容が載っていたのですが、25日に現場に居合わせた者として、これらのニュースが決して正確な情報を伝えていないという思いがあり、今回はそのことを書いておきます。

 ニュースによれば、大型車がスリップして国道を塞いだのは25日夜であるということですが、実際は違います。以下、私が知っている事実を書きます。

1.25日正午の時点で磐越自動車道は、大雪のため西会津ICから郡山東ICの区間で通行止めとなっていた。(通行止めとなったのは25日朝から))

2.このため、磐越自動車道を通って新潟から会津若松方面に向かう車はすべて西会津ICで降ろされた。(ただし、西会津ICの手前から渋滞が発生しており、午後1時に渋滞の最後尾についてからICを出たのは午後2時半だった。)

3.西会津ICを出た国道49号線では会津坂下方面に向かって既に渋滞が発生していた。

4.先へ進むことを諦め新潟に戻るため、私が西会津ICに入った午後3時の時点では、ICの料金所を出た車が国道49号線に出ることができずに、まったく動かない状態となっていた。

5.磐越自動車道は午後3時20分頃、津川ICと西会津ICの間も通行止めになった。


 このように、国道49号線の渋滞は25日の昼間から既に発生していました。高速道路を降りた車で通行量が増えればスリップする車も増えるのは当然です。時間の経過とともに渋滞がしだいに深刻なものとなっていったのです。
 立ち往生のきっかけは、たしかにスリップした大型車が道を塞いだことにありますが、300台もの車が立ち往生することになった原因は、磐越自動車道を通行止めにしておきながら、それ以上の対策をとらなかったことにあります。
 25日昼の時点で国道49号線の渋滞が発生していたのですから、高速道路の通行止め情報とともに49号線の渋滞情報も流していれば、この区間を走る車の量も減ったはずです。けれども、高速道路上では高速道路の情報しか手に入れることができません。並行して走る一般道の情報は高速道路を降りるまでわからないというのが実情です。そうである以上、高速道路を走っているドライバーはインターを出たところでさらに渋滞が待っているとは夢にも思いませんから、構わず走って行くというのが人間の心理です。

 今回の立ち往生を伝えたニュースでは、磐越自動車道の通行止めにふれたものはありませんでした。ですから、事情を知らない人は「なんで高速道路を通らなかったのだろう?」と不思議に思ったことでしょう。実際には、高速道路が通行止めになっていたので、高速を降りたら渋滞に巻き込まれたというのが真相です。
 ところが、新聞をよほど注意深く読まないとそういう事情はわかりません。というのは、今回の立ち往生は予測不可能の事態によるものだという論調でニュースが組み立てられているからであり、その原因はマスコミが当局の発表を鵜呑みにしてニュースをつくっているからです。
 国道を管理している国道交通省が今回の事件の責任を認めるはずがありません。これは高速道路を管理しているところも同様です。そのかわり、事件の真相がうやむやにされてしまいますから、適切な対策がとられないまま今後も同種の事件が起こることになります。それによって社会が被る損失の大きさを考えれば、同じような事件を起こさないようにするにはどうしたらよいか、それを考えるのが道路を管理する人の「責任」ではないかと思います。
 何かあるとすぐ個人の責任追及(犯人捜し)に偏るというのがマスコミと私たちの悪癖です。犯人が見つかるとそれで満足してしまい、同種の事件を防止するにはどうしたらいいかという事にまで考えが及ばなくなるという悪癖もあります。
 マスコミが第4の権力といわれ報道の自由が確保されているのは、真実を明らかにすることで社会的な議論を喚起することができると期待されているからであろうと思います。
 しかしながら、マスコミがその役割を果たさないのであれば、事実を知る者がそれを社会に伝えるということをしなければなりません。
 それゆえに、あえて申し上げます。今回の300台立ち往生というのは人災であると。
by T_am | 2010-12-27 22:19 | その他