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カクレ理系のやぶにらみ

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時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

文化的犯罪

 都議会で、東京都の淫行条例違反や社会規範に反する性交または性交類似行為をしている作品を規制の対象とする条例(もう少し正確にいうと東京都青少年健全育成条例の改正案)が12月15日可決されました。
 今年6月にも規制条例案が議会に提出されましたが、民主党などの反対により否決されたことにより、今回は「刑罰法規に触れる、または婚姻を禁止されている近親者間における性交」を描く漫画等に自主規制を求め、「著しく社会規範に反する性交または性交類似行為」を「不当に賛美し、誇張するように描写した表現物」を「不健全図書」として指定できるというものに改めました。
 「自主規制」というのは売場を区分して成人向けコーナーに置くということを意味します。また「不健全図書」として指定されれば、事実上一般書店やコンビニの店頭に置くことはできなくなります。

 この条例による自主規制は平成23年4月1日からであり、7月1日からは販売規制がスタートします。そうなると、たとえばボーイズ・ラブを描いたマンガが不健全図書に指定される可能性は否定できません。現在でもこれらの図書は一般書店の一角を占めているのですから、そうなった場合の影響は大きいといえます。(具体的には、「風と木の詩」や「日出処の天子」のような作品が不健全図書に指定されることを想像してみてください。一般書店では買えなくなるのですよ。)

 そういえば、源氏物語がマンガ化されたら東京都はどうするのでしょうか? 義母との密通を描いたシーンは「著しく社会規範に反する性交」そのものですから、条例の趣旨からいえば当然「不健全図書」に指定されなければなりません。だからといって、マンガ版源氏物語を不健全図書に指定すれば東京都は世界中の嗤いものになることは火を見るよりも明らかです。でも石原都知事のことですから、そのような批判に耳を貸すとは思えません。やはり不健全図書に指定することになるのでしょうね。

 性というのはあからさまに見せられると退屈なものです。誰もが最初は好奇心をそそられますが、やがて飽きてしまいます。にもかかわらず、性を扱う作品(小説、マンガ、写真、映像など)が後を絶たないのは、この市場に次々と新しい顧客が参入し、やがて去っていくからです。
 このように、新しい需要と新しい供給が次々と生まれる中で、すぐ忘れ去られる作品もあれば、時代を超えて生き残る作品もあります。今回の東京都の条例によって、時代を超えて生き残るような作品が今後生まれなくなる可能性がで生じたといえるでしょう。これは焚書坑儒に匹敵する文化的犯罪であるといっても過言ではありません。

 ついでに申し上げておくと、後世に残るような作品をリアルタイムで読むことができるというのは、読者にとって無上の喜びであるといえるのです。
by T_am | 2010-12-23 00:31 | その他