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カクレ理系のやぶにらみ

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時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

無知につけ込む環境税

 政府税調が、地球温暖化対策を促すために石油や石炭などに課税する環境税を来年10月から段階的に導入する方針を決めたとのことです。企業がこれを負担するはずがありませんから、消費者が負担することになります。
 「段階的に導入」というのは、一気に負担させるのではなく、3年半かけて税率を段階的に引き上げるのだということです。
 地球温暖化対策を促すといっても、各国の思惑と利害が対立する中で、人類は未だに有効な枠組みを構築することができていないのが実情です。それよりも、今までに行われてきた対策によってどれだけ効果をあげてきたのかが発表されたという話はいっこうに聞きません。おかしいと思いませんか?

 仮に、「日本人が省エネに積極的に取り組んだことにより、昨年一年間のCO2濃度の上昇率が前年比で1%減ったことが明らかになった」という報道が行われたとします。あなたならこれをどのように解釈しますか?

 「日本人があれだけ努力しているにもかかわらず、世界全体ではあいかわらずCO2濃度は上昇を続けているのはけしからん。」と思うのが普通の感覚でしょう。中には「われわれが努力しても結局はCO2濃度は上昇していくのだから、無駄な努力はもうやめよう」と思う人もいるかもしれません。
 私は猜疑心が強いせいか、CO2濃度が上昇したことで自然災害による被害額がどれだけ増大したのか知りたいと考えてしまいます。
 しかし、現実には、氷河が何メートル後退したとか、北極海の氷が溶けたとかいう断片的な現象しか報道されていません。地球の姿というのは地球ができて以来常に変わり続けているのですから、現在起きている現象も一時的なものであり、未来永劫その状態が続くとは考えられません。

 「縄文海進」という言葉があります。これは、縄文時代の日本では、地球の平均気温が今よりも1~2℃ 高かったために、海水面が今よりも3~5メートル高かったために、それだけ海岸線が内陸部まで入り込んでいたという現象を指します。同じようなことが現代に起これば一大事だと心配する気持ちもわからないわけではありませんが、縄文海進の頃、縄文人の人口は増え続けていたということにも目を向ける必要があると思います。というのは、温暖化によって、それだけ食糧が豊富にあったからです。
 ところが、縄文時代の中頃、地球が寒冷化に向かうと海岸線は後退しましたが、食糧が乏しくなり、人口の伸びは停滞してしまったのです。
 このことは生物にとっては、温暖化した地球の方が寒冷化した地球よりも棲みやすいということを意味します。けれども環境省もマスコミもそのようなことは教えてくれません。
 地球温暖化が進行すると何か恐ろしいことが起こるかのようにいわれ、それを鵜呑みにするということを私たちは行って来ました。これは地球温暖化に限ったことではありません。
 狂牛病の問題が起こったときは、牛肉の需要が止まり、替わりに豚や鳥の需要が急増しました。その結果何が起きたかというと、急増する需要に対応するために輸入した鶏肉の偽装表示(ブラジル産の鶏肉に対し国産であると表示すること)が行われ、社会問題化しました。(この部分は、井上ひさしさんの著書「あてになる国のつくりかた」光文社 に収録されている山下惣一さんの講演からの受け売りです。詳しく知りたい方はこの本をお読みください。)
 鳥も豚も生きものですから、育つまでに時間がかかる(ブロイラーで約2ヶ月、豚で半年)のですから、需要が急激に増えても供給量をすぐに増やすことはできません。まず飼育施設を増やし、それからやっと飼育する鳥や豚の数量を増やすことができるのです。しかも将来需要が元に戻ってしまえば、それらは過剰設備となるだけでなく、生産過剰となった鶏肉や豚肉は値崩れすることはわかりきったことです。すなわち、工業製品と違って農産物というのはおいそれとは増産できないのです。
 しかし、消費者はそのことを知らないので、自分たちが欲しいと思うときに欲しいだけの肉が提供されるのが当然であると思っています。そこで、産地の偽装表示をするのは不届きであると怒るわけです。

 「1円でも安い買い物をするために主婦は苦労しているのよ。」というのは家人が時々口にすることばです(本音は、「それに比べてあなたは無駄遣いばかりして!」といいたいのです)。おそらくどこの家庭でも似たり寄ったりだと思うのですが、1円でも安い食料品をという思いは外国からの食糧の輸入を促すことになります。それによって、たしかに野菜や肉は安くなるのですが、それらの食糧の安全性が保証されているとは限りません。日本で禁止されている農薬が使われているかもしれないという可能性もあれば、食肉であれば抗生物質が残留しているかもしれないという危険性も伴うことは案外知られていません。
 私たちの祖父母の世代までは、真面目に生きてさえいればきちんと家庭を持って安心して子どもを育てることができましたが、現代は違います。卒業しても就職できるかどうかわからないという時代ですし、無知であればそこにつけ込まれて財産を奪われかねないという時代になってしまいました。

 このたびの環境税というのも、私たちの無知につけ込む税金であるといえます。2400億円もの税金が何に使われるのかはっきりしていませんし、それがどれだけ効果をあげるのか検証する術も整っていません。こうして日本に暮らすことで個人や企業が負担しなければならないコストが増えていくのであり、その結果が産業の空洞化や正規雇用の圧縮という現象に現れています。
 これは政治家や官僚に責任があるのですが、はっきりとNoといわない私たちにも責任の一端があるといえます。自分や自分の子どもの身を守るには、政府のいうことを鵜呑みにせずにきちんと自分で知識を身につけるということが必要な時代になっているということなのです。
by T_am | 2010-12-16 00:13 | その他