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カクレ理系のやぶにらみ

tamm.exblog.jp

時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

隣国に無関心な日本人

 今回もオーストラリア在住の知人から聞いた話です。
 ブリスベン-成田間のカンタス・JALWAYS(JALの子会社)共同運航の直行便が9月いっぱいで廃止されたのだそうです。そういえば国内線でも採算の悪い路線を廃止することが決まっているので、それと同じことなのだろうと思ったら、そう簡単な問題ではないようです。空港には発着枠というのが設けられており、1日に航空機が離着陸できる回数は限られています。したがって、航空会社が発着枠を新規に獲得するというのは容易なことではありません。まして、一度放棄した発着枠を再度獲得するのはほとんど不可能であると思ってよいでしょう。
 それで、カンタス・JALWAYSが撤退した後のブリスベンの発着枠をどこが獲得したかというと、なんと中国なのだそうです。11月からはブリスベン-上海直行便が就航するということで、その背景にはブリスベンでも中国人観光客が増えているのがあるそうです。

 このニュースを聞いて、中国というのは実にしたたかな国であると思いました。同時に、こういうニュースが日本で配信されないというのはどういうことなのだろうと考えてしまいます。

 今回の尖閣諸島での中国漁船と巡視船の衝突事件に関連して、メディアでもようやく中国が南沙諸島や西沙諸島で領有権を巡って周辺国と摩擦を起こしているという事実が報道されました。そういう国が東シナ海を隔てて沖縄の向こう側にあるという事実を無視して沖縄の米軍基地の問題をどうこういうのは安易であるといえます。誤解のないように書いておきますが、だから沖縄県民は我慢すべきだというのではありません。ろくに考えもせずに米軍基地を県外に移設すべきだと結論を出す本土の政治家のことを取り上げているのです。
 
 しかしながら、アジアの情報が日本でニュースとして伝えられることはほとんどありません。例外は北朝鮮と中国ですが、それらのニュースはかなり偏っていると思います。

 どうして日本人がアジアの国々に関心を持たないようになってしまったのかを考えると、私たちの中にアジア諸国の人々を見下す気持ちがあるからだろうと思うのです。自分よりもレベルの低い者とつきあっても得るものが少ないので無視する。その代わり自分よりレベルの高い人とは喜んでつきあう。そういう心理が欧米崇拝・アジア蔑視という姿勢にあらわれているのだと思います。
 私たちがアジアに無関心だからニュースが伝えられることもない。視点は常に国内にしか向けられていないので、外交に関する問題が起きたときにどう対応したらいいかわからない。普段何も考えていないということの弊害が如実に表れたのが今回の事件であると反省すべきでしょう。
 中国でフジタの社員が4人逮捕された(うち3人は昨日釈放された)ことにより、私たちは、ビジネスというのは二国間の関係が良好な場合にのみ成立するということを学習すべきでしょう。政治の意向によっては口実を設けて外国人の身柄を平気で拘束する国が日本の近隣に2つもあるわけですから、これからの企業経営者はリスクの分散と回避、管理ということも考えなければなりません。そのうえで政治に対して対中国貿易が安全に行えるような政策を実行して欲しいという要求を突きつけるのは当然であるといえます。
 問題は、そのときに日本が譲歩すれば相手も譲歩するだろうという根拠のない期待でものごとを判断してしまうことにあります。
 それというのも、普段から相手国の情報を熱心に集めておくという努力を怠っているからにほかなりません。きちんと情報が国民に伝えられていれば世論は自ずからまとまっていくようになります。
 普段からきちんと考えるということを行っていない政治家に対し、外交上の汚点であると文句をつけることは容易ですが、私たち自身もその片棒を担いでいる(つまり共犯者である)という事実に向き合うことが必要であると思います。
by T_am | 2010-10-01 21:56 | その他