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カクレ理系のやぶにらみ

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時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

嘘と体質

 武田邦彦先生が、大阪地検特捜部の主任検事が逮捕されたことについて、相手が厚生労働省の局長だったからであり、これが平民だったら検事は不問に付されると書いておられます。

http://takedanet.com/2010/09/post_a6cd.html

 過去に冤罪事件はいくつも起こっていますが、それで逮捕された操作関係者はいないわけですから、なるほどと思います。そういえば逮捕された当日のニュースで「異例の事態」とマスコミが報道していましたが、これは「本来逮捕されるはずのない人が逮捕された」という意味で「異例」だったのですね。

 今回のフロッピィディスクに保存されているデータの更新日時(タイムスタンプ)の書き換えというのは、そのことにとらわれるとかえって問題の本質を見失う恐れがあるように思います。

 Windowsパソコンではファイルの内容を変更して上書き保存すると更新日時(ファイルのプロパティを開くと見ることができます)が書き換えられます。更新日時を書き換えるには専用のソフトが必要ですから、逮捕された検事が供述しているように「間違えて書き換えてしまった」というのはあり得ません。更新日時はそれを書き換えるためのソフトがない限り変更できないのに、それを書き換えたというのは、検察がそういうソフトを用意していたということを意味します。
 つまり、次の2つの条件を満たさないと更新日時の書き換えはできないのです。

1.あらかじめ更新日時を変更する意図があって専用ソフトを入手し、パソコンにインストールした。た。
2.更新日時を変更する目的でそのソフトを起動し、使用した。

 ところが、逮捕された検事は「誤って変更してしまった」と供述しているのですが、誤って専用ソフトを入手しインストールしたうえで使用したということは考えられません。むしろ日常的にこのソフトを使っていたのではないかと疑われるのです。さらに、当時誤って変更してしまった」という報告を受けた大阪地検幹部もそのことを了承している以上、大阪地検ではこのソフトが日常的に使われていたと推測することができるのです。(更新日時が変更できるということを上司が知らなかったのであれば、どういうことなんだ、と問い質して自分が納得できるまで追及するというのがまともな上司の行動です。)

 過去に起きた冤罪事件でも捜査関係者による証拠の改竄・捏造があったことが指摘されていました。すなわち、日本の捜査・司法当局には被疑者の有罪を立証するためには証拠に手を加えることが当たり前であるという体質が存在することが想像できるのです。
 もっともこんなことは私が申し上げなくても、「誤って変更してしまった」という供述が嘘であり到底信じられるものではないということは誰もが感じていることでしょう。そこで懸念されるのは、逮捕された一検事の個人の犯罪ということになりはしないかということです。この検事が自己弁護に走れば走るほど「悪いことをした人間」というイメージが強くなっていくのですから、問題の本質がうやむやになってしまう恐れがあると思うのです。

 今年の1月に公判が始まり、弁護団によって検察の捜査のほころびが次々と指摘されると、3月には大阪地検特捜部の検事11名のうち10名が転出するという人事異動が行われたそうです。唯一残ったのが今回逮捕された検事だけというのですから、検察の威光を傷つけたことに対する懲罰人事であったとみることができます。
 組織に自浄能力があるのであれば、関係者を「とばす」前に実態の究明が行われるのが普通でしょう。処分が行われるとすればその後のことになります。しかし、そういうアクションがなかったということは、上級庁の判断基準がどの辺に座標軸を置いているのかが分かるように思います。
 そういう組織に身を置いていれば、公正に判断し行動するということが行われなくなるのも当然であるといえます(もちろん例外的な検事もいるでしょうが)。

 今後この事件がどのような展開をみせるのかわかりませんが、「エース級検事が犯した犯罪」ということに関心が集中してしまう(高みにある者を引きずりおろすのは快感ですから)と、「あいつはやり方を間違えた」とか「運が悪かった」ということで片づけられ、今後も冤罪事件がなくならないのだろうと思われます。
by T_am | 2010-09-23 21:46 | その他