ブログトップ

カクレ理系のやぶにらみ

tamm.exblog.jp

時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

小沢一郎の「豪腕」

 民主党の代表選挙に関連する報道が続いています。菅総理が立候補したのは当然として、小沢一郎が立候補した背景には様々な思惑が絡んでいるようです。
 小沢一郎が幹事長を務めていた頃、小沢とその側近は絶大な権力を手中にするはずでした。政府のトップは鳩山前総理で党の事実上のトップは小沢幹事長という体制は、政治主導というスローガンの下で、党が政府に対して非常に強い影響力を持つものでした。ここで「党」といういい方をしましたが、実態は小沢幹事長とその側近に権力が集中するというものであり、陳情の窓口を幹事長室に一本化したというのはその一例です。ほかにも昨年の衆議院選挙で初当選した新人議員に対して「自由にものがいえない」という不満が出るほど統制を強めたことも忘れてはなりません。

 民主党の幹部たちが、小沢一郎にこれほど権力が集中するのをなぜ認めたのかというと、選挙に勝つという点で小沢の右に出るものはいないと思われているからです。そういえば、小沢の師匠にあたる田中角栄も自民党の幹事長時代、選挙の神様といわれたことがあり、政治家の影響力の強さは選挙に強いかどうかに正比例すると考えていいようです。

 管総理の脆さはまさにここにあります。金を集めることができないので、選挙はいつも苦労しているというのが実情ですから、子分たちの面倒を見るということができません。管直人は人望がないといわれることがありますが、それは、子分たちを選挙に勝たせる力が弱いために子分のなり手がいないという意味に解釈することができると思います。

 菅総理が早々と代表選挙への立候補を表明したのに比べ、小沢一郎の立候補表明はぎりぎりのタイミングで行われました。どうやら小沢自身、初めのうちは立候補するつもりはなかったようなのです。しかし、選挙に弱い菅総理ではどうにもならないという政治家としては極めて合理的な発想をした議員たちから小沢一郎を推す声が高まったこと。幹事長を辞めた後、劣勢にあった小沢グループの内部には、このままではじり貧になってしまうという危機感もあったと思います。しかし、立候補の決め手は鳩山前総理の支持表明であったことは間違いありません。鳩山前総理がなぜ小沢一郎支持に回ったかといえば、菅総理になって自分が理想としている政治からかけ離れた政策がとられようとしていることへの不満が大きいと思われます。(下世話ないい方をすれば、自分を振った男へのあてつけみたいなものですが、こういう行為が報われることはありません。小沢一郎が総理になれば菅総理と同じことをするはずです。)
 こうして、鳩山グループも加えた「票読み」の結果、これなら充分戦えると判断したので立候補することにしたのだと思われます。

 小沢一郎を推す人の声で気になるのは、この難局を乗り切るには小沢に「豪腕」を発揮してもらう以外にない、というものです。豪腕という言葉には力でねじ伏せるというニュアンスがあり、まさに小沢一郎の政治スタイルをぴったり言い表した言葉であると思います。
 そういえば、小沢一郎は検察審査会について「一般の素人がいいとか悪いとかいう仕組みがいいのか」という発言をしています。この人には、自分と相容れない考えの持ち主には圧力を加えて排除しようとする特徴があり、これもまた「豪腕」の一部であるといえます。

 小沢一郎という政治家はアメリカよりも中国を向いた考え方をしているように思います。これも田中角栄の影響なのかもしれないのですが、田中真紀子が熱烈に小沢一郎を支援する理由にもなっているようです。
 たとえば、「沖縄に海兵隊は不要」という小沢一郎の発言は沖縄を強く意識したものですが、同時に、海軍力を増強しようとしている中国を喜ばせるものでもあります。中国は空母の建造計画を進めているところであり、東シナ海に蓋をするかのように連なっている沖縄諸島から海兵隊がいなくなれば、それだけ作戦の自由度が高まることになるからです。中国に敵対せよと申し上げるわけではありませんが、この国がチベットやベトナムにしてきたことを思うと用心を忘れない方がいいように思います。
 小沢一郎の場合、ほかにも外国人参政権を認める法案を通そうとしてみたり、いったいこの人はどこの国の政治家なのかと疑いたくなるときがあるのですが、どうやら選挙に勝つことが最大の目的なのだからそのためには何だってするのだと考えた方がこの人を理解できるように思います。もちろん、そのような行動が日本にとっていい結果をもたらすかどうかは別な問題ですが。

・選挙に強い
・自分と相容れないものには容赦しない

 こういう資質を持った政治家であれば、強力な指導力を発揮して現在の八方ふさがりのような状況でも何らかの方向性を示してくれると期待することはできるかもしれません。無能なリーダーと有能な独裁者とではどちらがましか大いに悩むところですが、小沢一郎のような政治家を望む機運が起こるというのは現在の日本の資本制民主主義が制度疲労に陥っていることの証左であろうと思います。したがって、新しく制度設計を行うということが日本の課題なのですが、そうなるまでには紆余曲折がありそうです。

 政党のトップが自動的に国家の最高権力者になる。この点においては日本も中国も北朝鮮も同じです。異なるのは中国や北朝鮮ではただひとつの政党しか認められていないけれども、日本は複数の政党が存在を認められておりそれぞれ平等に扱われているという点です。そのため日本では政党は絶えず国民に監視されるというメリットがありますが、その代わり政権が安定しない(安倍総理以来、1年以下の短命政権が続いています)という弱点も抱えています。
 しかし議院内閣制の問題点は、首相を選ぶのに国民が直接関与できないというところにあります。自民党政権のときもそうでしたが、民主党の代表選挙においても投票権を持っているのは国会議員と地方議員、そして登院とサポーターと呼ばれる人たちです。その総数はおよそ35万人といわれていますから、有権者の1%にも満たない人たちが日本の首相を決めるわけです。
 強いリーダーの登場を願うという点に限っていえば、私も小沢一郎を支持する人たちと同じなのですが、その選び方に問題があると思うのです。
by T_am | 2010-09-05 08:00 | その他