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カクレ理系のやぶにらみ

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時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

ネット選挙(4) 参院選挙の候補者のホームページをみる(3)

 参議院議員選挙の投票日が近づいているので、誰に投票したらいいかを判断するために候補者のホームページの閲覧を続けています。
 今回はその3人目として、現職議員ながら無所属で立候補したした候補者のホームページを取り上げます。

 この人は県会議員を5期務めた後、参議院選挙に立候補して当選。社民党に属していますが、先の連立離脱には最後まで反対しており、今回の選挙では党籍を残したまま無所属で立候補するという離れ業を演じています。

 この人のホームページをみると、今までどんなことに力を注いできたかがアピールされています。この辺が既に取り上げた二人の候補者とは違うところであり、有権者にとってはそれだけわかりやすいといえます。さらに、「国会質問」というリンクが貼ってあり、自分が国会でどのような質問をしたかが質問趣意書とともに閲覧できるように工夫がしてあります。
 それだけ自分の仕事に誇りを持っており、誰に対しても恥じることはないという自負が感じられるようで、実に好ましいといえます。

 そこで、この候補者の政策についてみてみましょう。
 「10の約束」として、次のように簡略にまとめられています

・「国民の生活が第一」の姿勢を堅持し、年金・医療・福祉・介護・教育・子育てなどを改善します。
・情報公開の徹底。政策決定の透明化をさらに推し進めます。
・国民から信頼されるクリーンな政治を実現し、「政治とカネ」の問題の浄化にトコトン努めます。
・環日本海経済圏、アジアの繁栄を呼び込み、環境と社会保障の分野で雇用を生み経済を成長させます。
・中小企業支援を強化し、「ものづくり新潟」を応援します。
・労働者派遣法の改正などで不安定な働き方を見直し、格差と貧困を減らします。
・農林漁業者に対する本格的な戸別所得補償制度を確立します。口蹄疫など家畜伝染病対策を強化します。
・自然エネルギー利用促進のためのロードマップを作ります。
・郵政改革法案を早期に成立させます。
・沖縄の負担軽減、米軍基地の国外・県外移転を求め続けます。


 これを読んでどのように思いますか? 私は、安全志向というか、できなかったと子のいいわけができるような政策であると感じました。というのは、「改善」「推し進める」「努める」「成長させる」「応援する」「減らす」「強化する」「求め続ける」などの表現は、成果はともかく行動だけはする、という意味の言葉が並べられているからです。これならば、約束したことができてないじゃないか、と非難されても、「いえ、現在改善の途中です」とか「現在努めているところです」といえば済むわけです。賢いですね。
 結果を約束しているのは、「戸別所得制度を確立する」「ロードマップを作る」「郵政改革法案を早期に成立させる」の3つのみで、あとは要するに「努力します」といっているに過ぎません。つまり、普天間基地の移設問題のように、「国外・県外移転を求め続け」ていれば公約を実行したことになるのであり、結果についての責任を負う必要はないのです。国会議員というのは楽な仕事なのですね。サラリーマンやってる方がよっぽど切ないといえるでしょう。

 そういう目で、この政策を見直すと、借り物の言葉が多いことに気がつきます。厳しい言い方をすれば、借り物の言葉を使うことで何となくわかった気になりますが、実はそこで思考が停止してしまうという落とし穴があり、本人はそのことに気づいていないのです。
 例を一つあげましょう。「自然エネルギー利用促進のためのロードマップ」と書かれています。自然エネルギーとは化石燃料に基づくエネルギーと区別するためにつくられた言葉であって、多分に誇大広告的なニュアンスがあるのですが、太陽光・風力・潮力・地熱発電は私がこどもの頃から取り組まれてきたものであり、それ以来数十年経つ現在でも、どれも未だに経済ベースに乗っていないという問題を抱えています。経済ベースに乗るというのは、次の不等式を満たすものでなければなりません。

 そのエネルギーから生み出された価値>そのエネルギーを生み出すために費やされたコスト

 経済ベースに乗るようになると、この不等式の左辺にある価値の一部が次のエネルギーを生み出すコストを捻出することに費やされ、その結果、エネルギーは絶えず生み出されることになります。たとえば、火力発電所で用いる燃料代と発電によって得ることができる電気料とを比較したときに、燃料代よりも電気料の方がはるかに大きいからこそ、発電を続けることができるのです。
 それでは自然エネルギーの場合はどうかというと、もっとも普及しつつある太陽光発電でも、補助金や余剰電力の買取制度によって左辺が右辺よりもかろうじて大きくなっているというのが現状です。補助金の支給や買取制度を廃止してしまえば、コストの方が高くつくのですから、とても実用にはなりません。
 自然エネルギーですべての電力を賄っているという工場はまだ存在しませんし、そもそも電気で飛行機は飛ばないのです。
 そういうものに対してロードマップをつくるのは税金の無駄というものです。まして普及させればさせるほど補助金が必要になるのですから、その財源はどうやって捻出するというのでしょうか。

 こういうことは、マスコミや政府の情報を鵜呑みにしている限り気がつきません。しかも自然エネルギーなどと見た目のいい言葉に対しては、それ以上自分の頭で考えるということをしなくなるのが普通です。そして、無駄遣いをなくすといいながら、大きな無駄遣いをしていることに気づかないということになるのです。

 ですから、これだけ真面目で熱心であり、しかもバイタリティーに溢れた人が借り物の言葉で満足してしまい、自分自身で考えようとしないのは実にもったいないと思います。また、真面目でバイタリティーのある人ほど、間違った方向に努力するとその被害は大きなものとなります。
 ということで、この候補者も私にとって、投票に値するかというと不適ということになります。

 追記。
 ネット選挙というか、ホームページだけをみて投票する人を決めるというのも実は危険な行為であるといえます。というのは、候補者のホームページには書かれていないことも多いからです。それを補うにはマスコミによる情報も活用する以外にありません。たとえば、すべての候補者に同じ質問を投げかけて、その回答を掲載するというのはマスコミでないとできません。選挙期間中は、そういう記事も掲載されるので、積極的に利用したいところです。
by T_am | 2010-06-29 22:54 | その他