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カクレ理系のやぶにらみ

tamm.exblog.jp

時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

道路構造令は無駄の極致

 私が住んでいる新潟県には国道8号線という幹線道路が通っています。新潟市から滋賀県の栗東を結ぶ道路ですから交通量の多い道路です。
 国道8号線のうち、渋滞が多い区間は4車線化されており、さほどでもない区間は2車線のままなのですが、ここ数年郊外の2車線区間で幅員を広げる工事が行われています。最初は4車線にするのかなと思ってみていたのですが、できあがったのをみると確かに車線の幅員は広がっているのですが、あいかわらず2車線のままです。それよりも立派な歩道ができているのには唖然としました。
 郊外の幹線国道ですから、道路の両側に民家があるかというとそんなことはありません。辺り一面田んぼであり、民家がある区域は国道から数百メートル離れています。国道にはバス停もあるのですが、乗客が待っているのを見たことはほとんどありません。つまり、誰も歩行者が通らないところであるにもかかわらず、車が走れるくらい立派な歩道が設けられているのです。


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 この先で歩道が切れています。左側前方に樹木が植わっているあたりに民家が密集していますが、市街地はその向こう側なので、こちら側に歩いて来る理由はありません。(国道の右側前方には農地が広がっています。)
 予算がつけばその時点で歩道を延伸するのかもしれませんが、次の写真でおわかりいただけるように、この後ろ側に民家などありませんし、また、この沿線にはバス停もありませんから、歩行者が通る理由はないのです。


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 同じ地点の反対側の写真です。道路の両側に3m以上の幅の自転車歩道が設置されています。右手遙か彼方に樹木が茂っているあたりに集落があります。それまでは一面の田んぼです。その集落の中には別な道路が通っているので、そこに住む住民が国道まで歩いて出てくるということはありません。ちなみに左側に見えるのは塀の左側には工場があります。




 こういう無意味な整備が行われる理由は道路構造令にあります。


道路構造令(最終改正:平成一五年七月二四日政令第三二一号)

(自転車歩行者道)
第十条の二  自動車の交通量が多い第三種又は第四種の道路(自転車道を設ける道路を除く。)には、自転車歩行者道を道路の各側に設けるものとする。ただし、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合においては、この限りでない。
2  自転車歩行者道の幅員は、歩行者の交通量が多い道路にあつては四メートル以上、その他の道路にあつては三メートル以上とするものとする。
(中略)
4  自転車歩行者道の幅員は、当該道路の自転車及び歩行者の交通の状況を考慮して定めるものとする。



 道路構造令にこのように規定されているために、歩行者も通らないし自転車も走らないというところでも幅員3m以上の立派な自転車歩行道が設けられているのです。そのための用地買収費や工事費はまったく無駄な支出ですから、こういうのはインフラ整備には該当しません。
 インフラ整備とは、それによって効率が上がり、社会全体で生産性が上がるものをいい、企業活動でいえば設備投資ということになります。

 誰も利用しないレジャーランドをつくれば、その企業は遠からず倒産するであろうことはおわかりいただけると思います。それと同じことが、道路で起こっているのです。これは新潟だけの現象かというと、そんなことはないでしょう。全国至る所でこのような現象が起きているものと思われます。
 おそらく、歩行者と自転車が安全に共存できるような自転車歩道が必要な区域というのは、住宅や店舗がびっしり張り付いているわけですから、用地買収するだけのスペースが残っているはずがありません。その一方でスペースが残っているところには、歩行者や自転車のニーズがないところとなります。そんなところにせっせと自転車歩道という立派なものをつくって、道路整備の進捗率○○%という発表をするわけです。

 こういう無責任な支出がまかり通っていながら、菅総理は財政再建のためと称して、消費税の税率を上げることも真剣に議論しなければならない、と訴えています。冗談じゃないよ。そう思いませんか?
 確かに赤字国債の残高は増える一方であることは事実です。しかし、建設国債も一緒にして国の借金という大雑把な言い方をして、国民の不安を煽り、財政再建のためには増税もやむなしという方向に世論を誘導しようとしており、マスコミもそれに荷担しています。
 財政再建を訴えるなら、こういう無駄なお金の使い方は直ちにやめるべきでしょうし、マスコミもこういう無責任な道路整備にお金が使われていることをきちんと指摘すべきです。

 おそらく財政再建=増税を主張する人たちは、自由に使える予算がもっとほしいということなのでしょう。だから増税しても赤字国債の発行残高がゼロになることは、絶対にありません。

 結局、この国では政府やマスコミの言うことを鵜呑みにしているとひどい目に遭う、そんな国になってしまいました。
 「自分のこどもの世代に借金を残すわけにはいかない。」そう思う気持ちはとても立派ですが、だからといって政府・政治家の増税の主張に賛成すると、「自分のこどもの世代に今まで経験したことがないような重い税金を負担させる時代がやってくる。」そう考えた方がいいと思います。
 政府やマスコミの言うことを頭から信じるのではなく、自分で考えて判断することが大事なのです。
by T_am | 2010-06-25 21:55 | その他