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カクレ理系のやぶにらみ

tamm.exblog.jp

時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

意味のない女性専用車両

先日大阪へ行ったときに、朝の9時過ぎに地下鉄御堂筋線を利用しました。6両目に設けられている女性専用車両はけばけばしい色に塗られているので目につきます。その隣の5両目に乗ったところ6両目とは混雑度合いが全然違うことに呆れたことがあります。
 そういえば3月に、これに反対する団体の人たちが女性専用車両に抗議乗車してトラブルになった事件があったなと思いだしました。すいている女性専用車両に比べ一般車両が混雑していることを見ると、怒りたくなる人の気持ちもわかるような気がしました。

 女性専用車両が設けられたのは、痴漢対策のため女性が安心して乗ることができる車両を設けようということだそうです。
 それでは、女性専用車両が設けられて痴漢行為が減ったのかというと、そうとはいいきれないようです。痴漢被害の件数に変化があったのかを公表していない鉄道会社も多く、公表されてる事例をみても、御堂筋線や埼京線では被害件数が減少したとされていますが、中央線快速や京王線のように被害件数が増加しているという路線もあるからです。
 考えてみれば、1両だけ女性専用列車を設けても一般車両に乗車する女の人がいる限り、女性客が痴漢の被害に遭う可能性をゼロにすることはできません。一般車両に乗る女性が悪いというのではなく、すべての女性客に対し1両しかない女性専用車両に乗れというのは無理な話です。
 ただし、「(女性客は)物を食べたり化粧したり、だらしないから乗らない」と女性専用車両を利用しないという女の人もいて(「毎日新聞 2010年4月20日 地方版」から

、女性専用車両がいいとは一概にはいえないようです。また、女性客の中には、乗り換えや駅の出入り口の位置を考えると、女性専用車両の配置が具合悪いという理由で、あえて一般車両に乗るという人もいるものと思われます。
 そうかといって、痴漢行為に迷惑し、怖い思いもしている女性もいるわけですし、示談金目当ての痴漢冤罪事件も起きているのですから、いっそのことすべての車両を女性専用・男性専用の2種類に分け、交互に配置すればいいと思うのですが、どうでしょうか?
 女性と男性を完全に分けてしまえば、電車の中での痴漢行為は完全になくなるはずです。また混雑具合も均等になるはずなので、男性に対する不当な差別であると主張する人たちも納得してくれるのではないでしょうか? 
 もうひとつ付け加えれば、男は痴漢冤罪の被害者になりやすからです。電車の中で隣に立った女性からいきなり腕をつかまれ、「この人痴漢です!」と叫ばれたら、身の潔白を証明することは極めて困難です。そこで自衛のために、女性が隣にいるときは空いた手でつり革につかまる、本を読む、それが無理ならば自分の服の襟をつかむなどのことをする男も多いと聞きました。自分が混雑した電車に乗るときも、たぶん同じことをすると思います。見境なく人を疑わなければならないというのは社会が病んでいるといわなければなりませんが、さりとて混雑時に電車に乗らなければならない以上、他に有効な方法もないというのが実情です。
 そういうことであれば、すべての車両を女性専用・男性専用の2種類に分けて交互に配置するというのが現実的な解決策であるといえます。もっとも朝のラッシュ時と異なり、夜の電車は時間帯によって男性と女性の乗車率が異なる可能性もあるので、単純に男性専用、女性専用の割合を1:1とするのは混雑の偏りを生む可能性もありそうです。夜も遅くなればなるほど女性客の割合が減るように思われるので、その場合、時間帯別に女性専用車両の数を調整し、なおかつ乗客にわかりやすいように告知することが必要でしょう。
 このような施策は鉄道会社にとっては面倒でコストがかかることですから、自主的に取り組もうという会社はたぶん出てこないでしょうね。
 また女性専用車両の導入を推進した公明党の議員のみなさんは、それが何の問題解決になっていないということに気づいていないのでしょうか。現在運用されている女性専用車両は、自分が利益を享受するためには他人が不利益を蒙っても構わないという人間を量産しているように、私には思えます。
 このテーマでWebを渉猟していたら昨年のニュースで、「小池百合子元防衛相ら自民、公明両党の女性議員有志が8日、勤務先付近の託児所、保育所などに子どもを預ける親のために、朝夕のラッシュ時間帯の電車に親子連れ専用の「キッズ車両」を導入するよう、金子一義国土交通相に要請した。要請書では「子どもと少しでも長く一緒にいたい」「病気の時などに駆け付けられる」などとして、職場近くの施設に子どもを預けるメリットを強調。しかし混雑した電車に子どもと乗ることは困難として、親が子どもを抱いたり、ベビーカーのまま乗ることができる専用車両が必要としている。これに対し金子氏は「(キッズ車両導入については)私もお手伝いする。社会全体で進めなければいけないことだ」などと応じた。」(共同通信2009年7月8日)という記事を見つけました。
 「子どもと少しでも長く一緒にいたい」という理由で、幼いわが子を自分の通勤につきあわせたいという母親が本当にいるとすれば、そのような母親に育てられたこどもはやはり自己中心的な大人になっていくだろうと思います。こうして、自分の快適さを追求するためにはわが子でさえも犠牲にしても構わないという人間が増えていくのでしょうね。こどもの虐待が減らないはずです。
 この要請をした女性議員の皆さんは、そのような風潮の最先端を走っている方々であると、失礼ながら申し上げざるを得ません。
 女性専用車両も同様です。女性議員の皆さんも過去にラッシュ時の通勤車両で不愉快の思いをされた経験があるのでしょう。それを解消するには女性専用車両を設ければよい、という発想をしがちですが、ここまで書いてきたようにあまりにも安易であるといえます。
 それによって何が起きているかに目を背けて、単純に、「私たちの努力によって女性専用車両の導入路線が増えました。これからも頑張りますから応援してください。」というのは、政治家として無責任きわまりないとといえます。



(わにぶち洋子参議院議員の公式ブログ)


(女性専用車両に反対する小坂英二荒川区会議員のサイト)
by T_am | 2010-04-28 22:25 | その他

by T_am