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カクレ理系のやぶにらみ

tamm.exblog.jp

時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

議員が多すぎる

 日本は民主国家ですが、政治に民意が反映されているかというとそうでもないように感じられます。というのは投票によって議員を選ぶということは、その議員に白紙委任状を預けているようなものだからです。俗な言い方をすれば、任せっぱなしにしてあとは無関心といっていいと思います。
 ところが、苦労して国会議員になっても、高度に専門的な仕事なので、一人では何もできないようになっています。特に、一年生議員は何をなったらいいのかも定かではなく、どうしても政党や派閥に依存しなければなりません。
 国会議員の公式ホームページを見ると、どの議員も自分の活動報告というサイトを掲げていますが、それを見ると日本の国会議員がどのようなことをしているのか、皮肉な言い方をすれば何をしていないかが一目瞭然でわかります。

 国会議員の仕事は、政府の監視と法律をつくることの二つに尽きます。そのために国政調査権と不逮捕特権が与えられているのですが、国会での質問の様子をみる限り、患者に対し布団の上から按摩をしているようなもどかしさを感じてなりません。

 国会議員の中には、投票要員に甘んじている人も多いように思われます。すなわち、議員立法に携わるわけでもなく、何かの委員会に所属はしているものの、独自に調査するということもせずに官僚の提出した資料を眺めているだけで採決に参加するというものです。
 そうでなければ、地元に対して道路や学校をつくるなどの利益誘導に精を出している人もいます。でもそれは、市議や県議の仕事でしょう。

 国会議員は国民の代表である以上、三権分立においてもっとも力をもたなければならないのが立法府です。しかし残念なことに、官僚がいなければこの国はまわっていかないのが現実です。そうしたのは国会議員であり、それを許したのは国会議員に利益誘導を期待してきたわれわれ国民です。
 今取りざたされている地方分権というのは、地方のことは地方で決めさせてもらいたい、地方で決められないこと(外交・防衛・金融など)は国で決めてもらいたいというものです。
 政治というのは、国の中で偏在する富を税という形で吸い上げて他方に分配するという撒水機のような役割を持っています。しかし、何でもかんでも国が面倒みるということになると、富の分配に携わる人がそれだけ多方面に渡って必要になります。だから国会議員の定数が増えてきたのだといえると思います。
 衆議院の議員定数は480人、参議院は242人となっています。その上で、現在の国会で自民党と民主党が提出した法案(いわゆる議員立法)の数をみると、自民党 9本、民主党 28本となります。(法の改正案を含む)

 自民党 http://www.jimin.jp/jimin/kokkai/171/teisyutu/index.html
民主党 http://www.dpj.or.jp/news/?num=15770

 一方、共同通信によれば政府が提出した新規法案の数は69本あります。

 http://www.47news.jp/CN/200907/CN2009071801000530.html

 政府提出法案が圧倒的に多いのが気になります。そもそも政府が法案をつくる中には自分たちの都合のいいようにつくった法律もあります。
 うろ覚えですが、東京から大阪までのJRの運賃は在来線を乗り継いだ場合と新幹線に乗った場合で同じ金額となります。しかし、実際のキロ数は新幹線の方が短いので、厳密に計算すれば新幹線の運賃の方を安くしなければいけません。この問題に対する訴訟が昭和50年に起こされましたが、昭和53年の第85回国会において国鉄運賃法の改正法案が自民党の小此木彦三郎議員などから提出され、新幹線のように「既設の営業線に増設された場合には、既設の営業線の営業キロを適用するのが通例となって」いるものを法として定めて追認するということが決まりました。

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/085/0290/08510180290002c.html

 この国鉄(当時)と政府にとって都合のいい法案は議員立法という形で提出されましたが、運輸委員会において賛成多数ですんなり可決されてしまいました。官僚がお膳立てをして議員に通してもらい、議員は官僚に貸しをつくるという構図が目に見えるようです。有能なスタッフというのは確かに重宝するものですが、有能であればあるほど彼なしでは何もできないという状況に陥る危険性も高いといえます。その結果、日本は官僚がいなければまわっていかない国になってしまったのです。

 おかしいと思うようなことでも、それを認める法律がつくられて合法ということになってしまえば、司法の出る幕はありません。極端ないい方をすれば、法律さえつくってしまえば、それが既存の法律と矛盾しない限り、何でもできるということになります。
 そういうことを監視するのが国会議員とマスコミの役割なのですが、現実には与党議員は賛成要員に過ぎないので、野党がどれほど反対してもいざというときは強行採決が行われますし、たとえ参議院で否決されたとしても衆議院で再可決するという道もあります。そのような形で成立しても法律であることの有効性に変わりはありません。
 
 三権分立における立法の優位性を担保するためには、個々の議員が「実力」をつけなければなりません。そのためには議員定数を大幅に削減し、議員一人あたりの経費予算を大幅に増やすことが有効であると考えます。議員が自前のスタッフを雇い調査をし、法案を作成して提出するということが可能な状況をつくる代わりに、そういうことをしない議員には落選していただく。また、議員が閣僚に就任する場合には議員を辞職していただく。そういう制度にしないと、国会と国民が政府を監視するという機能が果たせないと思います。
 したがって、当面の課題としては公務員制度の改革よりもむしろ国会の制度改革の方が優先順位は高いと思います。それによって、国と地方の役割が明確に分かれていくことで地方分権というのも現実味を帯びてくるのですが、いかがでしょうか?
by T_am | 2009-07-19 08:52 | その他

by T_am