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カクレ理系のやぶにらみ

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時間のある方はお読みください。軽い気持ちで読み始めると頭が痛くなります。

 河本某の母親の生活保護の受給について、自民党の片山さつきが国会で追及し、厚生労働大臣である小宮山洋子が答弁していました。
 5月26日の片山さつきのブログには、「政府は消費税増税や年金額切り下げなど、国民に痛みを強いる改革を進めており、生活保護制度に不公平感が高まりつつあるために、生活保護費も聖域化しないと判断。自民党は10パーセントの引き下げを求めている。小宮山大臣は、夜、生活保護受給者の親族が扶養できないなら、扶養が困難な理由の証明責任を親族側に課す法改正、これは私が会見で18日にも主張したことの一つですが、検討を表明しました!」と書かれています。
 また、小宮山洋子厚生労働大臣は25日、衆議院の社会保障と税の一体改革特別委員会で「生活保護費の支給水準引き下げを検討する」考えを表明し、さらに、生活保護の受給開始後、親族が扶養できると判明した場合は積極的に返還を求める意向であることも述べました。

 生活保護という制度ができたのは戦後(1946年)のことです。戦後の混乱期に、生活の糧を得ることができない生活困窮世帯を救済する目的でつくられたのですが、その対象は主に都市労働者であったと思われます。
 農家の次男三男が都会に出て行き労働者となるというのは江戸時代からあった現象ですが、日本が近代化するにあたり、農村から都会への人口移動が政策的に進められるようになりました。それは、言い換えれば大家族を解体させ、核家族をつくっていくというものでした。大家族制のもとでは歳をとれば家族に面倒をみてもらうことができますが、核家族ではそうもいきません。そこで、老後の生活を支援するという目的で1960年に年金制度が設けられました。
 経済不況と少子高齢化により、年金財政が危うくなっており、将来自分が年金をもらえるのだろうかと不安に思っている方も多いと思います。

 核家族化という政策を進めてきたのは自民党です。その場合のセーフティネットとして生活保護が設けられているのですが、財政難を理由に「自民党は10パーセントの引き下げを求めている」というのはあまりにも無責任であると思います。そもそも、現在の財政難を招いたのは自民党の政策(とそれを支持した国民)によるものです。それでも景気が上向けば税収も増えますから、借金も返済しやすくなるのですが、財政出動を繰り返しながらいっこうに景気はよくならなかったわけです。

 そういう過去からの文脈に頬被りをして、国民感情につけ込んで、あたかも自分が正義の味方であるかのように振る舞うという片山さつきには品性の卑しさを感じ、怒りすら覚えます。

 また、小宮山洋子の「生活保護費の支給水準引き下げを検討する」を聞いたときは、この人は厚生労働大臣としての資質を欠いた人であると思ってしまいました。政治家である以上、優先的に取り組むことは「生活保護を受給しなければならない世帯を減らしていく」ということであると思います。しかしながら、バブル崩壊後は生活保護の受給世帯は増加を続けているというのが現実であり、この点で歴代の内閣が有効な手を打つことができなかったことは明白です。
 普通の神経の持ち主であれば、今まで自分たちがやってきたことは何の効果もあげることができなかったと反省するところでしょうが、片山さつきも小宮山洋子もそういう反省とは無縁のようです。(別にこの二人に限ったことではないのですが。)
 厚生労働省という官庁の存在意義は、病気になったり生活に困ったりして、支援を受けなければならないようになった人に対する支援が必要十分な水準となるようにするというところにあると思うのですが、小宮山洋子は自らそれを否定して見せたわけです。そういう発言が出るということは、邪推になるかもしれませんが、企業でいえば課長や部長クラスの意識しか持たないことの証左であるといえます。コスト削減を立案し実行するのは部課長の役目であり、経営者はもっと高い次元でものごとを判断するのが仕事です。国政を預かる政治家が部長や課長クラスの意識しか持っていないというのは情けないことですよね。

 子供が親の面倒を見るのが当然という考えかたを小宮山洋子はしているようですが、親の面倒を見る子供の数が増えればそれだけ支援が容易になるというのは誰にでもわかる理屈です。自民党や民主党が今まで、それと逆のことをしてきたからこそ、こうして悪口を書いているわけです。
 そういえば、この人は少子化担当大臣も兼務しているはずですが、そちらの方での実績を上げてからこういう発言をされたらいかがなものでしょうか。

付記
 私の場合、人の名前を書くときは、基本的にはさんづけをするのですが、例外として心底軽蔑する人物に対してはフルネームで呼び捨てにするということにしています。
# by t_am | 2012-05-27 09:14 | その他 | Trackback | Comments(0)
 人気お笑い芸人である次長課長の河本某の母親が生活保護を受給していたという一連の報道は、本人による謝罪の記者会見でピークに達したようです。ハイエナのようにめざとい政治家がこの問題を取り上げたりして大きな騒動に発展したのですが、私には、自分の親の面倒を見るかどうかについては所詮は個々の家庭の事情にすぎないと思えます。

 河本某を責める人たちは、金を持っているくせに母親に生活保護を受けさせるのはけしからんという気持ちを持っているようです。そう思うのは当然だと思いますが、それを口にするかどうかはまた別の問題でしょう。「河本某はああいうことをしたけども、自分はそんなマネはしないでおこう」と考えるのは潔いといえますが、だから責めても構わないのだというのは違います。あなたがたは、この国を、「他人の財布に手を突っ込んでその使い途を監視しても構わないのだ」という国にしたいのですか?

 親の面倒を見るのが当然という考えかたがあります。だからといって、他人に対し、お前が親の面倒を見ないのはけしからん、と口にするようなことではないでしょう。それを言っていいのは、当人の親戚や家族に限られます。けれども、よく考えていただきたいのは、そういう家族や親戚からの干渉を息苦しいと感じたからこそ、大学進学や就職を口実にして親元を離れた人が多いのではないでしょうか? それが悪いと申し上げているのではありません。自分が息苦しいと感じたことを、他人に押し付けることはどうなのかと申し上げているのです。

 また、金を持っているくせに生活保護という税金を受け取るのはけしからんという思いもあるようです。これも一見もっともな考えかたのようですが、よく考えるとおかしいと思います。というのは、私たちが払っている税金はこの社会を維持するために必要な資金として払っているのであって、日本の社会のシステムがもたらす恩恵は誰もが平等に受けています。普段あまり意識しませんが、医療や教育、治安、食糧供給など国民生活を支えるために税金は使われているのであり、そういう意味で、私たちは平等に税金の恩恵を被っているといえるのです。
 さらに、さまざまな補助金や助成金という制度もあって、個人を対象にしたものと企業を対象にしたものとがあります。個人レベルでは公的機関による職業(技能)訓練もそれに該当します。これらの助成制度は、受益者が金持ちであるか(企業であれば利益を出しているか)どうかは問いません。つまり、貧乏人が税金による庇護を受けるのは構わないけれども、金持ちは税金の恩恵を受けてはならないという理屈は成り立たないのです。

 このように書くと、生活保護は支援してくれる人もなく自立できない人の生活を支えるための制度なのだから、子供が親を扶養できるだけの収入をもっていれば生活保護を受給するのはおかしい、という反論を受けると思います。これに対しては、河本某の家庭の事情ではなく一般論で申し上げるのですが、子供が親を扶養する義務と親がそれを受け入れるかどうかはまったく別の問題だと考えるべきでしょう。親の中には、歳をとれば子供に面倒を見てもらうのは当然と考える人もいますし、逆に、子供に迷惑をかけるわけにはいかないので自分の事は自分でなんとかすると考えている親もいます。したがって、親の面倒を見るかどうかは、個々の家庭によって事情が異なるのですから当人同士で話し合って決めればよいことであって、他人がこうでなければならないと決めつけるのはおかしいと思うのです。
 くどいようですが、そういう親や親戚からの干渉を息苦しいと感じて親元を離れた人も多いはずであり、そのことを忘れて河本某を非難するというのは矛盾しています。

 話が飛躍するようですが、親の面倒を見るという行為の中には、さらに介護という要素が入り込んでくるのは避けられません。介護経験のある人から、その負担(経済的な負担と精神的な負担)がいかに大きいものであるかを聞いたことがあります。けれども現行の制度では、介護する家族を支援する仕組みはまだまだ貧弱です。そういう現実に目を背けて、子供が親の面倒を見るのは当然と決めつけていいのかということもあります。

 次稿で述べますが、生活保護の支給水準を引き下げようという目論んでいる政治家たちにそういう世論が利用されかけています。河本某を責めて溜飲を下げるという気持ちも理解できないわけではありませんが、そのことが社会の弱者の切り捨てにつながっていくということも知っておいたほうがいいと思うのです。
  
# by t_am | 2012-05-27 09:13 | その他 | Trackback | Comments(0)
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